2024年05月13日( 月 )

導入の動きが広がっている協調ロボット(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

少し遅れを取っている韓国企業

ロボット イメージ    協調ロボットの市場が成長しているなかで、韓国企業の国際競争力はそれほど高くないという評価が出ている。コア部品である減速機やサーボモータの技術で韓国企業が遅れており、ロボット製造には日本やドイツから部品を輸入しているためだ。とくに、減速機の場合、日本のハーモニック・ドライブ・システムズが世界市場を独占している状態で、部品の国産化を急ぐ必要があると言われている。サーボモータは、ロボットの位置制御などに使われる部品であるが、工場が自動化されればされるほど、その需要が伸びることが見込まれているので、独自の競争力を確保するためにも、これも国産化の必要性に迫られている。現在サーブモータの世界的な企業はドイツのシーメンス、スイスのABB、日本の安川電機やファナックなどである。サーボモータには精密な技術が要求されるので、簡単に世界レベルにキャッチアップすることは難しいかもしれないが、ロボットの性能向上のためには欠かせない部品であるため、国内での技術開発が求められている。

 ところで、協調ロボット分野で韓国企業のなかでトップシェアをもつのが、斗山ロボティックスである。同社は2018年に製品を出荷して以来、国内市場で1位、中国市場で4位にランクされている。同社では全社員の4割が研究開発に専念しており、業界最高水準の力の感知力と衝突敏感度に関する技術をもっている。現在は世界40各国に販売チャネルをもっており、売上高の6割は北米や欧州などの海外で上げている。

今後の課題は

 上記のように協調ロボットは導入が進んでいて、技術は十分に進化している。しかし、ロボット導入の課題は高額なコストである。ロボット導入にはさまざまなメリットがあるものの、多額の費用がかかるため、二の足を踏む経営者は多い。今後、普及が進めば進むほど、大量生産によって原価が下がることになるだろう。

 もう一方で、ロボットの導入が増えることによって、人の仕事をロボットに奪われるのではないかという懸念の声も上がっている。しかし、単純労働のような仕事はロボットが得意かもしれないが、クリエイティブな仕事は人間がやらないといけない。人間とロボットがどのように協調すればよいのか、ロボットの導入が進み、実際現場で経験することによって、さまざまなことがわかってくることもあるだろう。ロボットの需要が今後増加していくことはたしかなようだ。韓国の大手企業もロボット産業の成長を見据えて、ロボット企業に投資をしている。ロボット産業をめぐって、各社の動きは慌ただしくなっている。

(了)

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