教育環境の充実により高水準の学研都市へ、優秀な人材の循環がつくり出す飯塚の未来(中)
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飯塚市長 片峯 誠 氏
片峯 飯塚市ではこれまでもIT活用など、情報分野における取り組みが活発になされてきました。しかし、なかなか思うような成果を上げることができていません。時代がこれからどういう方向に進んでいくのか、未来に対する意識が甘かったのではないかと思います。「Pepper」導入に際してソフトバンクに論文を提出するのですが、私は飯塚の未来に対する教育関係者の「意識改革」として取り入れたいという趣旨のことも書かせていただきました。先進的な教育を通じて優秀な人材を育み、その人材たちが地元で活躍し、後進の教育を支援できるようにする。こうした人材が循環していく仕組みづくりを活発化させていきたいと考えています。
あらゆる世代が活躍できる場所に
――九工大の学生が市の小中高校生に指導するといった、学校間の垣根を越えた人材交流も見られます。
片峯 ソフトバンクの「Pepper」やライフイズテックのITキャンプなどを活用したプログラミング教育と並行して、九工大が提案するプログラミング教育も行っています。これにより、プログラミング教育の授業領域も広がりを持たせることができます。九工大では市内20の小学校を対象に協力をいただいています。飯塚市としては教育水準の向上になりますし、九工大にとっても授業を通して研究成果を実証できる機会になりますので、Win-Winの理想的な関係です。今後、さらに連携を加速させていきたいと考えております。
――教育を核に、福祉や「健幸(けんこう)」にも注力されています。
片峯 飯塚市でも喫緊の課題として少子高齢化への対応が挙げられます。その対応策の1つとして、福祉の観点から考えているのが、知識・経験ともに豊富な高齢者の方に、もう一度人材としてご活躍いただけないかということです。
たとえば、教育とのつながりです。放課後、ご両親の仕事の関係上、学童保育で一時預からせてもらっている子どもたちに対して、高齢者の方が指導者として自分たちがこれまで身に付けてきた専門知識・技術を教える。
こうした取り組みが可能になれば、飯塚市の中であらゆる世代が活躍できる、本当の意味での「健幸都市」に生まれ変わることができると思います。――健幸都市は飯塚市が掲げるテーマの1つですが、目標達成に向けてコンパクト・プラス・ネットワークの実現があります。
片峯 体が健康であることと合わせて、心も健康であることが大切だと私は考えています。「健幸」という言葉はそうした思いから生まれました。この健幸を市民の皆さんにも実感してもらうためにも必要なのが、コンパクト・プラス・ネットワークです。少子高齢化による人口減・財政難などに対する解決策として、多くの都市で生活に必要な諸機能が近接した効率的で持続可能な都市、コンパクトシティへの変換が進められています。
飯塚市でも「人が輝き、まちが飛躍する 住みたいまち、住みつづけたいまち」をコンセプトに空きビルの再生事業として運動指導員常駐の「健幸プラザ(トレーニング室、多目的室他完備)」の整備などを進め、交通の要所であるJR新飯塚駅周辺には500戸を超える民間住宅が整備されました。とくに、これからの都市づくりでは、「ネットワーク」が重要であり、山間部をはじめ地域の暮らしを守るための手法としてコンパクト・プラス・ネットワークによる都市再生を考える必要があります。(つづく)
【代 源太朗】<プロフィール>
片峯 誠(かたみね・まこと)
1956年3月30生まれ。第一薬科大学薬剤学科卒業。飯塚市立飯塚第一中学校教諭、福岡県筑豊教育事務所指導主事、飯塚市立鎮西中学校教頭、穂波町立穂波西中学校校長などを歴任し、2000年5月飯塚市教育委員会教育長就任。17年2月、飯塚市長に就任し、現在に至る。関連記事
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