交流拠点都市の復権へ!4つの重点エリアで進む『都市再生』(後)
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2022年の開業を目指す九州新幹線長崎ルート。当初、導入される予定だった新型車両フリーゲージトレイン(以下FGT、軌間可変電車)はとん挫し、現時点では、武雄温泉―長崎間のみをフル規格路線(通常の新幹線)でつなぐことが決定している。博多―長崎間を40分程度の短縮で結ぶ全線フル規格が望まれるところであるが、すでに新幹線開通を契機とした再開発が、長崎市中心部で始まっている。
商業・観光面での刷新
(3)まちなかエリアで注目されるのは、長年、市民に親しまれてきた老舗デパート「長崎玉屋」(2014年2月閉店)を含む約0.7haの区域で行われる「新大工町地区第一種市街地再開発事業」である。すでに、(株)大京(東京都渋谷区)および、同社グループの(株)穴吹工務店(香川県高松市)が、同事業の参加組合員予定者として事業参画することが公表されている。大京によると、新たに建設される建物は、商業・オフィス・住宅・駐車場からなる複合ビルであり、2020年度に竣工を予定。
長崎市の商業の中心地である「浜の町商店街」でも再開発構想が持ち上がった。地権者らが「浜町地区市街地再開発準備組合」を15年1月に設立。浜市アーケードの両側3.7haを11街区に分け、低層階に店舗、中総会に医療・福祉施設や公共施設、高層階に居住施設を備えた複合ビルを建設するといった構想が練られている。ただし、大勢の地権者がいるため、その合意形成がカギとなる。
16年の外国船の寄港数(国交省調査より)で、全国第2位の190回(前年128回)となった長崎港。急激な需要増で寄港を断ったケースもあり、クルーズ船の国際ターミナルがある(4)松が枝周辺エリアでは、ふ頭拡張(2パース化)など港湾機能の強化が検討されている。
このほか、JR長崎駅に近い三菱重工幸町工場が、工場再編にともない17年度末で閉鎖。その約7haもの広大な敷地の活用法と売却先を決める公募が実施されている。すでに事業計画案の募集は締め切られ、今後、事業計画案の募集に応じた事業者を対象とした土地活用事業者の募集を実施。18年度以降に、契約締結と土地の引き渡しが行われる。
観光集客に向けて、不足が懸念されている富裕層向けの高級宿泊施設に、不動産開発の森トラスト(株)が参入。同社は、長崎市南山手町にある歴史的建造物(通称「マリア園」)を取得し、高級ホテルとして開業するとしている。歴史的建造物の宿泊利用は、長崎市ならではのアイディアと言えるだろう。
このように新幹線開通を契機として、方々で、ダイナミックな変化が起きる長崎市。交流拠点都市としての存在感を取り戻す日は近いかもしれない。
(了)
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