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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (108)
経済小説
2011年4月 6日 14:34

<漂う疲弊感>

 事業譲渡が首尾よく裁判所の許可を得られるとしたら、4月末にはこれを実行し、晴れて社員はまっさらな新会社に転籍して、心機一転頑張ることとなる。現在のDKホールディングスのままでも給与の支払に支障はなかったが、やはり、民事再生中ということでいろいろな点で、社員にとっては不都合があるようであった。

地元企業としては比較的給与水準が高くその年収水準は... まずDKホールディングスは、大型物件の企画および開発を主たるビジネスとして取り組んできたため、地元企業としては比較的給与水準が高くその年収水準は部長クラスで900万円以上、課長クラスで600~800万円、2~3年目の若手でも300万円程度の年収があった。社員に対しては家賃の半分を会社で負担して賃貸マンションを社宅として使用させたり、毎年、社員全員を海外旅行に連れていったりしていたので、社員にとっての実質的な待遇は表面的な年収以上によかった。これが民事再生後は、一転して労働集約的な不動産管理業だけで食べていくこととなった。不動産管理業の場合は管理戸数を増やしていかないと成長は限られ、給与のベースアップも難しかった。黒田会長は昨年末の納会で「管理戸数が90%以上残ったら給与水準をもとに戻したい」と述べていたが、必要な管理戸数は達成できず給与の復元は無理となった。

 それに事業の収益性を改善するためには、不動産売買の仲介を積極的に行なうことで新たなオーナーを呼び込むことが管理戸数増加の早道であるが、これまでの売主としての営業スタイルを土日休みのない売買仲介の営業スタイルに切り替えるのは簡単ではなかった。
 このような状況ゆえ、民事再生の混乱時に不動産販売事業から配置転換した社員などからは、先行きの不透明感や慣れない不動産管理業務に従事することによる疲弊感が広がりつつあった。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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