ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

流通

アジア進出企業に聞く(4)~オフィス学人 代表 森 まなぶ 氏
流通
2013年3月29日 07:00

 新たな市場を求め、海外に積極的に進出する企業は増加している。しかし、派遣された従業員の労働環境やメンタル面について、意識が向けられることはあまりない。中国でのビジネス環境について、日本企業の中国進出支援、進出後のサポートを行なっているオフィス学人 代表の森まなぶ氏に話を聞いた。

 ――どのような経緯で、中国でビジネスをされるようになったのですか。

 森まなぶ代表(以下、森) 私は、日本の企業の経営コンサル会社で20年勤務していました。08年から中国の現地法人へ出向し、副社長(副総経理)として12年10月まで北京市に住み、中国企業向けの業務効率向上、人材育成コンサルティングや、日本企業の中国進出支援、交渉代行などを行いました。
 2010年に独立し、現在の形になりました。今までの経験や人脈を活かし、継続して日本企業の中国進出支援、進出後のビジネスのサポートやメンタル面でのサポートなどを手掛けています。

 ――メンタルのサポートとはどのようなものですか。
 
mori.jpg 森 うつ病といった精神疾患の発症防止と共に、気持ちよく日常業務に邁進できるよう心の健康管理をしましょうというものです。
 そのために、普段の上司、部下、顧客、ひいては日本本社との良好な関係構築手法(中国人を含む)の体得やストレス耐性を高めるトレーニングなどのご支援をさせていただいております。
 うつ病は、不慣れな海外では国内より発症しやすい環境になります。日本国内と比較し、海外のほうが3倍から5倍うつ病が発生しやすいとも言われます。
 主なストレスの原因として、中国人とのコミュニケーションの問題と思われがちです。しかし、海外での日系企業社員やそのご家族は、同じエリアに住む事が多く、小さな日本人社会ができます。そこでの人間関係が要因となるストレスも増加しています。あまり報じられない事ですし、行かないとわからないことですが、そこでのストレスはかなり酷いと感じます。
 海外勤務者は、文化の違う異国で働く中でストレスも、プレッシャーも感じています。加えて、日本の本社は現地の実態を知らないので、知らないが故の要求・期待が、海外勤務者へ更にストレスを与えています。また、海外勤務者の奥様やお子様までがうつになっている話もよく聞きます。誰にも相談する人がおらず、抱え込んでしまうケースが多いからでしょう。海外赴任者やそのご家族へのメンタルサポートは、仕事を成功させるためにも、大変重要なポイントと感じています。

 ――ストレスという問題もありますが、やはりスタッフは常駐させるべきでしょうか。

 森 事業をする上で現地化させることは重要ですから、常駐し、現地の慣習を知り、なじむということは重要です。例えば、「品質が良い」といっても、国、地域、民族によって、その基準が異なります。中国で携帯電話は、「壊れない」ことが第一条件です。日本製の携帯は、他国メーカーの商品と比較すると壊れやすい傾向にあるようです。日本製の携帯は多くの機能が付いていますが、中国では、必要最低限の機能だけついていればいいという考え方の方も多いのです。現地で求められるニーズをくみ取るということは大事です。こういったことは住んでみて初めてわかることや見えてくるものが多いと思います。

 ――中国で事業をするなかで良くあるトラブルなど教えてください。

 森 やはり、意思疎通の問題が多いです。きちんと理解してくれない、言った通りにしてくれないなどです。対策の一例として、将来に何を実現しようとしているのか、何のために今これを行なうのか、それを行なう事で、そこで働く中国人スタッフにとってどんなメリットがあるのかなどをきちんと説明することです。
 日本では「あうん」の呼吸で通じることもありますが、中国ではそれが通じません。しかし、きちんと説明すると、そのトラブルが減る傾向にあるようです。現地に住み、民族的な特徴などをしっかり理解することも必要です。

 ―海外進出を考えている企業に対してアドバイスをお願いします。

 森 海外進出は、大企業よりも中小企業の方が成功しやすいと思います。いきなり大きく進出するのではなく、修正、改善を身軽に行ないながら様々なテストを行なっていくといいと思います。
 また、進出がうまくいくかどうかは「何をしたいか」という思いがしっかりあるかどうかが重要です。日本での事業がうまくいかないために海外へというのは本当に多い例ですが、これはうまくいかないことが多いです。海外に行って何をしたいのか、なぜ、その国なのかをしっかりと持つべきです。目先のことばかり考えていても、そこに思いが無ければうまくはいきません。表面的に反日感情はありますが、日本の商品は良いとわかってくださっている方は大変多いです。日本企業としての良さを残しつつ、現地化することが理想でしょう。明確な思い、計画を持って、現地化に取り組めば、成功はしやすいと思います。

<COMPANY INFORMATION>
オフィス学人 
代 表:森 まなぶ
(メンタルサポート研究所 マーケティングマネージャー兼務)
TEL:080-3955-7220
E-mail:manabumori6@gmail.com
URL:http://www.mentalsupport.co.jp/


※記事へのご意見はこちら

流通一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル