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アジア進出企業に聞く(3)~進出しないリスク (株)島本食品 波多江 正剛 代表
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2013年3月27日 17:38

 明太子の製造・販売で4店舗を展開する(株)島本食品は、4年前から海外進出の準備を進め、昨年11月より韓国への加工食品輸出を開始した。代表の波多江正剛氏に海外市場への思いを伺った。

 ――輸出された商品は何ですか。

hatae.jpg 波多江正剛代表(以下、波多江) 島本食品のブランドを活かしためんたいマヨネーズです。現地の百貨店で販売されています。味の評価は非常に高いのですが、相応の価格のため爆発的なヒットまでは至っていません。

 ――海外ビジネスを開始した感想を教えて下さい。

 波多江 率直に言って非常に難しいものだと痛感しています。商慣習も価値観も全く異なる。そうした人々とのビジネスは困難の連続でした。

 ――それでも海外を根気強くやる理由は。

 波多江 私どもの商品は高付加価値商品です。日本の20年後は大幅な人口減と高齢化に晒されています。一部の商品は市場が拡大するでしょうが、私どもの商品は冬の時代を迎えます。

 ――活路はアジアにあると。

 波多江 中国を見て下さい。私は入国が困難だった20年前に訪問しました。だれが、今日のような繁栄を予測したでしょうか。
 アセアンの人口構成や活力を見た場合、中国と同じことが各地で起こると思います。

 ――御社が手掛けておられる韓国市場はどうですか。

 波多江 くしくも日本製品ボイコット運動が起きましたが、韓国と日本は歴史的な繋がりも多く、日本の製品を好んでいる人が多いのです。韓国にも明太子はありますが日本の明太子も好調です。日本国内で成熟した市場だと単価勝負のようなビジネスを余儀なくされることがあります。韓国も単価は重要ですが、日本の商品が欲しいという情熱が伝わってきます。単純に面白いです。

 ――海外進出に必要なことは。

 波多江 とにかく継続することです。壁にぶつかってチャレンジを途中で辞めてしまう企業は少なくありません。弊社は4年前から根気よく展示会への出展を続けて昨年からのビジネスにつなげました。乾坤一擲のような危ないかけはできませんので経営体力をよく考えて可能な範囲を見極めた上で粘り強く続けることで成果に近付くと思います。
 また、代表自身がリーダーシップを取ることも重要です。周囲を見回してもトップが陣頭指揮を取っている企業ほど成功の可能性が高い。不測の事態の連続に柔軟に対応できるし意思決定が早いと思います。
 そして、マーケットを知っているエージェントと組み、契約をきちんと締結すること。約束事を決めることで損害が出たとしても最小限に抑えることができると思います。

 ――中小企業の事業環境が変わったようですね。

 波多江 日本人が海外に出て戦う時代が来たのだと思います。日本人の心を失う訳ではないので本社を海外に移すくらいのことを考えてもいいと思っています。日本本社にこだわって会社が倒れてしまえば本末転倒です。長期的に見れば進出が遅れて日本以外で商売できないという意見をおっしゃる方もいます。

 ――海外事業でどこを目指しますか。

hakatatensoto.jpg 波多江 島本食品としては明太子にこだわった商品で勝負していきたいと思います。将来的にははたえグループ全体で食品全般を考えていきたいです。まずは韓国事業を仕上げること。アイテム数を年内に5品目に増やし2年間で黒字化を目指します。その次は日本に匹敵する購買力を有するシンガポールだと思います。その際はイスラム圏には必須のハラル認証取得も検討しなければいけないでしょう。各国へ進出する場合は現地に精通した人材が必要ですのでそれなりの陣容を整えるチームを編成していくことになると思います。

 ――進出を検討する企業にひとことお願いします。

 波多江 とくに若い経営者の方は迷っているのであれば是非チャレンジしていただきたいと思います。今はあらゆるセミナーが開かれているので情報はいくらでも取れます。
 学歴に関係なく世界で飛躍している日本人はたくさんいます。サービス業とりわけ飲食店のおもてなしは最高だと思います。アセアンは親日の国が多い。日本人の誇りを持って海外で活躍できる仲間を創っていきたいです。

【鹿島 譲二】

<COMPANY INFORMATION>
(株)島本食品
代 表:波多江 正剛(Seigou Hatae)
所在地:福岡県粕屋郡新宮町夜臼2-9-1
設 立:1976年4月
資本金:5,000万円
業 種:明太子製造販売
TEL:092-963-3333
FAX:092-962-1730
URL:http://www.simamoto.co.jp/


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