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トップ保険マンがなぜMBAを求めるのか(4)
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2013年9月27日 14:49

 MBAとは「Master of Business Administration」の略で、通常「経営学修士号」と訳される。国内では、MBAの学位を取得しても必ずしも給料が上がるわけでもない。出世できるわけでもない。それなのに、多くのやり手ビジネスマンがMBA教育を受けようと、時間をやりくりして自腹で経営大学院、ビジネススクールに通う。『I・B』1870号の特集「MBAの価値を問う」は、あるトップ保険マンがMBA教育の素晴らしさを語ったことから実現した。特集の取材に当たった2人の記者が、トップ保険マンをはじめとするやり手ビジネスマンがMBAを目指す心理と背景を探る。

<志にこだわる理由>
MBA.jpg 記者I QBSの場合もそうですが、「志(こころざし)」を大事にしているMBAプログラムは多いですね。そのなかでもグロービスの志へのこだわりは並大抵ではなくて、『I・B』1870号でも田久保研究科長が、「ここまで志にこだわっているMBAプログラムはほかにはない」と言い切っています。田久保氏に「志にこだわるのは、入学の敷居を低くするためではないか」、「志さえあればOKというように易きに流れる可能性はないのか」との疑問をぶつけてみると、「ある程度の能力とやる気があれば、テクニックは学べる。人生をかけて本当にやりたいという気持ちのほうがはるかに大事」、「技術も心も両輪が必要」、「抽象で語ってもだめだから、自分の志を数字に落とし込む」と返事が返ってきて、本当にそうだと思いました。また、なぜ志かと言うと、経営者は非常に苦しい場面に追いつめられることがあって、そういう場面から抜け出す原動力、自分を助けてくれるものが志だという話を聞きました。以前、南場智子さんがDeNAの社長だったとき、初めのころ経営が苦しくて会社をたたむ寸前まで行ったという話を聞いたことがありましたが、「志があるかどうかで、追いつめられたときに踏ん張ることができるかどうか違うのだろうな」と改めて感じました。

 記者K どん底に落ち込んだところからいかに復帰していくかということは、永遠のテーマでしょうね。以前、ストーリー構築やドラマ学を学んだことがあるのですが、そこでも志の有無が重要視されていました。人の成功や成長物語をつくるために一番大切なのは主人公の志の高さをきちんとつくり込んでおくことです。主人公の志が低かったら、困難な環境を克服することもできませんし、周りからの助けもありません。志の高さは環境から学ぶ力と深い関係があるのだと思います。

 記者I それはものすごくおもしろい話ですね。MBAプログラムがそうした知識の上でつくられているかどうかはわかりませんが、グロービスのクリティカル・シンキングの授業を受けると、最初はすごく落ち込んで、そこからだんだん這い上がって、「できる」という実感を得ていくそうです。ドラマ学などの仕組みに似ていますね。グロービスの学生に聞いてみると、クリティカル・シンキングを学んだことを高く評価する人が多いですね。

 記者K 環境からさまざまなことを学びとって実践されているということなのでしょう。良いことですね。

<自分の頭で考えることこそが必要>
 記者I これまで調べるということは、少なくとも悪いことではないと思っていたのですが、MBAの勉強の際には、調べないようにすべきケースがあるというのもカルチャーショックでした。グロービスの場合は、図書館、資料室がQBSのように充実していないことが気がかりだったのですが、調べてしまうと、自分の考えではなく、「こういうときはこうした方がいい」という知識を使ってしまう。自分の頭で考えることが必要なので、調べてはいけないケースもあるということです。予習も一般的には仲間とやってもよいけれど、科目によっては禁止されているものもあるそうです。

 記者K 予習するという行動のなかには、「きちんとした答えを言って、その場を安全に過ごそう」というように自己防衛のために勉強するという心理も働いていると思います。でも、MBAの勉強の場合、きちんとした答えや正解があるわけではないのでしょう。

asukakaigi.jpg 記者I 間違ってでも何でもいいから、自分の考えを言うことこそが大事だと聞いています。自分の意見を言うことによって、ほかの人からそれに対する反応があって、それで深めていくという考え方です。そういう意味で、どういう人たちと学んでいくかというのは大きいのですが、グロービスの学生や卒業生の間では、仲間への信頼はものすごく厚いですね。年1回全国から学生、教員、卒業生が集まる「あすか会議」や、3カ月に1回、7~8人程度の卒業生が経営上の悩みを打ち明け、相互グループコーチングする「互援ネット」などはそういう信頼がもとになっている象徴的なものと言えるでしょう。

 記者K それこそ志が高い仲間たちの集まりなのですから、素晴らしい環境からさらに多くを学べるでしょうね。

(つづく)
【文・構成:石坂 文】

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