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岩田屋新館ビル、福岡地所・西鉄・九電で共同購入へ
流通
2013年11月11日 16:44

<財界による地場百貨店支援の結末>
 岩田屋新館が入居する天神きらめき通りビルの土地・建物が、福岡地所・西鉄・九電に売却されることになった。同ビルは、岩田屋側が自社ビル化を図ったが、折り合いが付いていなかった。岩田屋は2010年より法人名を岩田屋三越に変更。三越伊勢丹ホールディングスの100%子会社である。同ビル不動産のみは地場財界による継続保有となった。岩田屋の屋号は残るものの、地場財界が存続へ向けて奔走した「地域の百貨店」は、すでに消失している。

 かつて岩田屋同様に救済を図られた福岡玉屋も存続できなかった。客足が遠のく下川端一帯の再開発事業の核テナントとして迎える予定だったが、建設に膨大なコストをかけた施設には高額な家賃が設定されたことで玉屋が入居を辞退。70年以上の歴史を有した福岡玉屋は1999年に閉店した。この時点で、岩田屋は地場資本としては唯一残された百貨店となった。

 岩田屋は中洲から天神に人の流れが移るなか一世を風靡、玉屋閉店により集客に勢いが続くかと見られたが、96年に出店したZサイド(現本館)の負担が重くのしかかった(不動産保有はNTTグループ)。その後の百貨店業界の低迷と足並みをそろえるように、業績を落としていく。
 こうしたなかで、旧本館を学校法人の都築学園に売却するなど資産売却を進める一方で、福岡地所や西鉄、福銀ら12社は出資して福岡新都心開発を設立。04年に旧本館を閉鎖し、NHK跡地に新館をオープン。管理を福岡新都心開発が行なってきた。この間2002年には私的整理に関するガイドラインを適用した岩田屋再建計画が実施され、福銀ら金融機関は債権放棄に応じた。創業家中牟田家が経営を退き伊勢丹の資本を受け入れ、その後、伊勢丹の子会社となった。天神は博多大丸や福岡三越などを含め大手系列が席巻してしまうこととなった。
 ところが、三越と伊勢丹が経営統合を実施。前述の通り差し向かいで凌ぎを削った岩田屋と三越は、岩田屋三越として生まれ変わった。この間、博多においても小倉本社の井筒屋が博多駅建て替えにともない店舗を失い、博多阪急が入って来た。今回の不動産売却は、こうしたなかで実施された。

 かつて岩田屋の足を引っ張っていた旧本館は福岡パルコに生まれ変わり、不動産を自前購入するほど活況を呈している。もはや福岡市内全域を見回しても県内勢が消滅している。法人としての三越伊勢丹は採算面で苦戦が続くが、パルコの好調は外部環境に関わらず商業施設の潜在力を示している。小倉で井筒屋は健闘するが、残念ながら地場百貨店にはその力がなかった。


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