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緊急連載!!特定秘密保護法案~沖縄密約を暴いた西山太吉氏の講演(1)
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2013年12月 4日 15:51

 緊迫する特定秘密保護法案について、沖縄返還協定をめぐる日米沖縄密約を暴露した元毎日新聞政治部記者の西山太吉氏が11月30日、福岡市で開かれたシンポジウムで講演し、「外務官僚が意思と決断を持ったら、外交全体が秘密にできる。民主主義が空洞化される」と語った。その講演(大要)を紹介する。

<日米安全保障体制に関する日米間交渉、合意事項が特定秘密の中枢神経>
 法案がどういう性質、威力を持つか、まず最初に申し上げたい。
 法案の最初の問題点として、特定秘密がどのようにつくられていくかというメカニズムをまず申し上げたい。これがわかっていないと、この法案の性格がよくわからなくなる。
 特定秘密、スパイ防止とかテロ防止と盛んに言われているが、私の視点から言えば、現在の内閣が狙っている特定秘密の柱が2つある。その1つは、日米安全保障体制にまつわる日米間の交渉の実態、やりとり、合意事項が特定秘密の中枢神経みたいなものだ。その次に、裏腹の関係にある日本の防衛問題と私は認識している。

<日米安保体制が日本国家全体の構造を規定 常に憲法の枠組みに抵触>
西山太吉 従来は、戦後のいろんな事件をみても、漏洩も含めて、日本国家を揺るがす国家機密のほとんどすべてが日米同盟に関する事象だ。日本とアメリカの安全保障体制と言われているものが、いかに日本国家全体の構造を規定しているか、その影響力は非常に大きいですから、絶えず同時に発足した日本国憲法という枠組みといつも触れ合う問題が発生してくる。そこから日本の国家機密を保持しなければいけないというテーマが出てくる。そういう視点で申し上げると、今度の特定秘密というものは、外交、防衛、とくに日米安全保障体制に関わる機密事項だということに私は焦点をおいている。

<第1、官僚が意思と決断を持ったら、外交防衛の全体が特定秘密の対象になる>
 そういう視点に立つと、特定秘密をその分野で設定するという意思を持てば、「この辺でおさめておこう」という意思がない限り、際限なく無限に広がっていく。
 どんなものでもそれに関連する問題は特定秘密として設定できるようになる。たとえば、防衛について申し上げます。別表というのがある。特定秘密にできる対象が列挙されている。驚くべき事実がわかる。防衛のところを見ると、自衛隊の運用。自衛隊に関するいろんな計画、研究は全部、特定秘密の対象になり得る。ということは、自衛隊に関するすべての問題は特定秘密になり得る。文民統制の観点から言えば、自衛隊といえども日本の主権者に自衛隊のかなりの機能が正確に伝達されなければいけない。文民統制の視点から言えば、主権者に、自衛隊がどのような運用がされているのか、どのように機能するのか、在日米軍と自衛隊はどのような関係にあるのか、本質的な問題については、自衛隊といえども軍事上の問題といえども、正確に主権者に伝達されなければいけないはずだ。別表に規定されている項目を特定秘密にあてはめると、全分野において特定秘密ができる。境界線はまったくない。特定秘密は防衛官僚が全部設定するが、防衛官僚らが「こういうものを外部に出してはいけない」という意思さえ持てば、どんなものでも秘密にできる。全分野で境界はない。

<外交機密というのが今回の特定機密の中枢神経>
 外交を見てみましょう。私は、外交機密というのが今回の特定機密の中枢神経だと思っている。日米安全保障体制のすべての運営の仕方は、日米間の折衝、外交で決まるから、外交機密というのが中枢神経中の中枢神経だと見ている。
 そういう視点でいえば、外交別表に何と書いてあるか。驚くべきことが書いてある。「外国の政府または国際機関との交渉または協力の方針または内容」とある。何を意味するか。日米安全保障体制を含めた、それを基軸とした日米間の外交は全部特定秘密になる。まったく包括的に全部特定秘密の対象になる。
 私は、記者時代に外務省を2回体験しました。外交交渉のプロセス、外交、折衝、話し合いというそのプロセスをいちいち国民に伝達するという視点でいえば、プロセスは秘密であるし、プロセスは変わっていくから、その時その時に応じて国民に出したら翌日変わっていることもある。それをいちいち公表する必要はない。私でさえ、必要ないと思います。しかし、それに対してどんなアクセスをしようと自由です。プロセスがわからなければ、結論もわかりませんから、どんな取材を展開するのも自由。しかし、官僚の側から言えば、プロセスをいちいち国民に説明したりする必要ない。それは一応是認できるけど、いったん合意したり、意見が一致したりして、結論が出た時点、日米関係の安保関係の運用の問題であったり、今後の基本方針を策定することで交渉し、一定の結論が出た時点では、絶対に120%国民に正確に伝達しなければいけない。外交の鉄則、イロハのイだ。しかし、それが法案に書いていない。参議院の安全保障委員会に参考人として呼ばれたときに、「外交の内容と書いてある。そうすると外交交渉やって結論が出ても『不都合だ、出したら国民の反対を招く、批判を浴びて大変なことになる』と判断したら、特定秘密としてごまかしたり、偽装することができかねない」と述べた。

(つづく)
【取材・文・構成:山本弘之】

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