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緊急連載!!特定秘密保護法案~沖縄密約を暴いた西山太吉氏の講演(4)
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2013年12月 5日 12:00

<第3、チェック機能は保障がない>
 第3に、特定秘密をチェックする問題。彼らがつくる特定秘密は、彼らの恣意によっていくらでもできるのだから濫用されたらたまったものじゃない。本当に正しい秘密なのか、いわば適正であるかどうかという問題が起こってくる。今、国会でも問題になっている。どういうチェックの仕方があるか。

沖縄密約を暴いた西山太吉氏の講演 総理大臣にチェックさせたらどうか。総理大臣というのは、特定秘密をつくる内閣の総本山であって、防衛大臣や外務大臣が持ってきて「どうでしょうか」というのに、総理大臣はみんなOKです。身内のなかの問題を身内にチェックさせる、そんなチェックの仕方はない。
 それを、総理大臣にチェックさせるというたった一言で、みんなの党が修正案をOKして、法案全体を支持した。そのために今度の法案は衆議院で与党だけの単独採決でないという口実になった。総理大臣がチェックできるわけがない。何万件、何十万件という特定秘密1つ1つをいちいちわかりますか。防衛大臣、外務大臣に全部委嘱している。そして、それを運用しているのは、専門のエリート官僚です。ですからチェックの機能を持たない。

 では、第三者機関、独立した第三者機関をつくったらどうか。「それを検討する」ということで、具体的には結論出ていないけど、これがまた大変だ。第三者機関というのは、有識者委員会という言葉で表されています。有識者委員会をつくって諮問して、答えが出てきて、それを実行するという仕組みを今もつくっている。今まで何回有識者委員会ができたか。それは政府の政策に基本的に同じ意見の人だけ集めてくる。そこから異論が出ることはない。国家安全保障会議にしても同じだ。秘密保全法制の有識者委員会は、秘密保全法制に賛成の人だけ集めて有識者委員会つくって諮問した。答えは決まっている。政府がどんなにでも操作できる。

<核密約、吉野・シュナイダー文書を否定した北岡委員会>
 私は苦い経験をした。沖縄密約を民主党政権が調査した。「これまで密約で国民、国会をだまして外交をやって、国民の信頼がなくなっている。民主主義が空洞化した」という反省のもとに、民主党政権がまず第一に沖縄の密約を徹底解明すると言って、情報公開法の改正といっしょに掲げた「錦の御旗」です。
 民主党政権ができたときに岡田克也外務大臣はまず記者クラブに来て、自分で書類を持ってきて第一声を記者クラブでやった。その時に何と言ったか。「沖縄密約を徹底的に解明して、われわれは民主外交をやりますから、見ていてください」と言ってスタートを切った。どんなに期待したか。その結果どうなったか。外務省は、官僚は、徹底抗戦に出た。

 その時、民主党政権は有識者委員会をつくることにした。岡田外務大臣自身が自ら乗り出して、官僚を叱咤激励してやるというならわかるが、有識者委員会をつくって調べるといった。外務省は「しめた」と思った。委員に誰を選ぶか。岡田大臣は素人だからわかるはずがない。みんな外務官僚の意見を聞いて有識者委員会をつくるわけだ。委員長がだれですか。今の内閣の最大の支柱だと言われる北岡伸一氏(国際大学学長)が密約調査委員会の座長になった。外務省、外務官僚が選んだ。

 北岡委員会はどんな結論を出したか。だれも問題にしないから、あえて私は言いますが、日本の歴史に残るような結論だ。レポート(報告書)で、核持ち込みの密約、佐藤・ニクソン密約は密約ではないと言った。佐藤・ニクソンの密約というのは、私は衆院外務委員会に呼ばれた時、隣に斎藤邦彦という外務省の元事務次官の大ボスがいた。旧外務官僚のOBのボスです。彼は何と言ったか。「これほど明確な密約はない」と言った。それを密約ではないと北岡委員会は言った。佐藤とニクソンが1通ずつ持つ、「絶対に外に漏らさないぞ」といって持ち帰ったけど、北岡委員会の報告書は、「佐藤はそれを誰にも引継ぎしなかった、引継ぎがないから密約ではない」と。珍説です。有識者委員会というものは、そんな報告書を出すわけだ。

 私が暴いた、返還軍用地の原状回復費用400万ドルを日本が肩代わりする密約については、「広義の密約性があるかもしれないけど、狭義でいえば密約ではない。吉野文六とシュナイダーという官僚がつくった密約文書と言われるものであり、そのときの愛知揆一外務大臣は知らなかった」。ちゃんと吉野が報告しているのに、「知らなかった」とした。
 そんなでたらめな報告書を天下の外務省の有識者委員会がつくるんですよ。外務官僚の言いなりの色がついているから。北岡氏というのは、完全な外務官僚の味方だ。官僚は、第三者委員会とか有識者委員会というのは、なんとでも操作できる。

<事実上存在しないチェック機能>
 したがって、特定秘密が妥当であるかどうか、要件を全部備えているかどうか吟味して調査し、それが駄目だったら「ノー」と言って、特定秘密から外せと言うのが、本当の権威のある第三者委員会ですけど、政府の人選によっていくらでも左右できる。
 しかも、今言われている第三者委員会なるものは、特定秘密をそれぞれ審査するのではなく、特定秘密はかくあるべきであるという基準を第三者委員会で設定するというだけ。個々の特定秘密について審査しないのですから、なんにもならない。ということは、以上を総合して申し上げられるのは、チェックの機能は事実上何もないということだ。特定秘密をチェックする機能は、どんな言葉を並べても実態的には何も機能できるようなものは考えられていないということだ。

(つづく)
【取材・文・構成:山本 弘之】

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