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緊急連載!!特定秘密保護法案~沖縄密約を暴いた西山太吉氏の講演(2)
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2013年12月 5日 07:00

<沖縄密約――偽装、虚偽表示、ミスリードして、日米同盟を聖域化>
 沖縄密約まさにしかり、沖縄密約は重大な外交交渉の結論だ。
 沖縄交渉は3つのテーマがあった。核の撤去、米軍基地の自由使用、基地の改修費・移転費の日本側の全額負担の3つだ。
 日本側は、1972年までに沖縄を返してもらわなければいけないという期限を付けた。佐藤内閣の事実上の任期は72年で終わるから、それまでにどうしてもやりたいと期限を付けた。期限を付ける外交は、その時に負けている。米国は「しめた、しめた」と、1969年5月28日に国家安全保障会議で「メモランダム13号」という沖縄返還交渉基本方針をつくった。なぜか。"日本は72年までに返してくれと言っているから、どうしても返してもらうためなら、我々は何とでも言えるぞ。何を要求しても日本は飲まざるを得ない"となる。前代未聞の外交交渉だ。米国は何を出してきたか。核兵器の緊急時持ち込みだ。

西山太吉 沖縄返還交渉の最後の結論が出た時は、核撤去に7,000万ドルかかるとなっているが、米国は1ドルもかかっていない。なぜか。緊急事態に核持ち込みの密約、佐藤・ニクソンの密約ができたからだ。那覇、辺野古、嘉手納の3カ所の核基地は全部温存した。撤去しなくてもいいのだから、1ドルもかからなかった。それを7,000万ドルといった。核撤去7,000万ドルは、対米支払い3億2,000万ドルのうちの1つだ。
 対米支払い3億2,000万ドルは、事実は5億3,000万ドルかかった。2億ドル以上隠した。そのなかで一番重大な密約は、いまだに政府首脳は知りもしない。3億2,000万ドルのうち6,500万ドルというのが、私がとった電信記録に書いてあった。6,500万ドルが何だったかというと、結局、思いやり予算だった。

 思いやり予算は、1978年に62億円でスタートし、一時2,700億円余になった。その思いやり予算を入れて、施設区域はただですから、駐留経費として、日本は毎年数千億円の金を出している。米軍基地は出ていくわけがない。その源流の6,500万ドルから始まった。国会の承認案件として、返還協定や返還交渉のなかで決まったことだから、国会の議決を必要とする、国民の税金ですから。しかし、何もかけなかった。
 ではどうしたか。5年間に分けて、72年から77年にかけて、毎年分割して防衛庁の予算に偽装して織り込んでいった。防衛予算費目は7,000もあり、訳がわかりようがない、野党が追及する余地がない。5年間で分割して払って、とうとうなくなった。継続費ですから、78年に仕方なしに「思いやり予算」を62億円でスタートさせた。日本国民は、政府首脳は、始まったのは78年だと思っています。金丸信防衛庁長官のときに、"日本を守ってくれるから、思いやりしなくちゃいけない"と始まった。冗談じゃない、5年も前から始まっているんだ。

<最高裁までが軍用地復元補償費肩代わりを容認>
 いろいろな密約が山ほどある。膨大なものです。全部交渉の結論、結果です。それを偽装して返還協定に虚偽表示して――返還協定は条約および協定予算なので、参院の議決を必要としない。国会の承認案件のなかでも最高位の自然承認案件です――それに虚偽表示して3億2,000万ドルでございますといった。その中から私の、例の400万ドル軍用地復元補償を肩代わりした。
 最高裁は、「3億2,000万ドルは国会の承認を得ているから、西山氏の言う400万ドルを3億2,000万ドルの中から払ったのは非常に問題あるけど、まあいいじゃないの」と。「3億2,000万ドルは国会の承認を得ているから、違憲違法な支出とまでは言えない。問題あるけど行政行為として認めてやればいいじゃないか」という判決だ。完全な誤判もいいところだ。3億2,000万ドルではない、5億3,000万ドルだ。その約2億ドルの密約のなかには6,500万ドルという思いやり予算も入っている。
 そういうものを誰も知らない。今の総理大臣まで知らない。大密約の実態まで総理大臣まで正確に知らないのが日本だ。日本というのは、過去50年60年の間に重大な日米問題についての重大な事項について、偽装されるか虚偽表示されて、ミスリードして、日米同盟の聖域化を図ってきた。

<外交交渉の結果は絶対に正確に国民に伝達しなければいけない>
 外交交渉の結果というのは、絶対に正確に国民に伝達しなければいけない。にもかかわらず、別表を見ていると、外交の内容と書いてある。全部特定秘密にできる。こんな法案は世界にありません。外交交渉というのは、結論が出たり合意に達したら、ただちに国民に公表し、深く解説して国民の理解を求める。それが、特定秘密をつくったら、合意事項だろうが了解事項だろうが日米同盟に関して重大な問題であろうが、"批判を浴び非常に大きな混乱をもたらす"と判断したら、それを特定秘密として公表しないことが可能だ。
 一事が万事で、防衛・外交という中枢神経が、特定秘密は官僚が指定するが、彼らが意思と決断を持ったらなんでもできる、すべてが、外交防衛の全体が特定秘密の対象になるということだ。恐るべきことだ。

(つづく)
【取材・文・構成:山本弘之】

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