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2014年度の日本経済に差し迫る巨大なリスク~植草一秀ブログ
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2013年12月 6日 18:56

 NET-IBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、安倍政権が政権発足直後の半年間に日本経済の回復誘導に努めたことは間違っていなかったとしながらも、1年が経過したいま、経済政策運営の方向が180度転換してしまった現状について分析している12月5日付の記事を紹介する。


 本日12月5日付日経新聞朝刊に拙著『日本経済撃墜-恐怖の政策逆噴射-』(ビジネス社)の広告が掲載されたので、改めてその内容を紹介しておきたい。

 昨年の11月14日の党首討論を契機に、円安と日本株高が進行した。円安が進行した背景は二つである。ひとつは、米国の長期金利が上昇したこと。過去10年間の推移を見ると、円ドルレート変動は、基本的に米国長期金利変動に連動している。

 その米国長期金利が2012年7月以降、低下から上昇にトレンドを転換した。これを背景に円ドルレートが円高からドル高にトレンドを変えた。もうひとつの要因は、安倍晋三氏が日本の金融緩和政策の強化を強く提唱したことだ。実際に安倍政権が発足し、安倍首相は、安倍氏の主張に共鳴する者を日銀総裁に起用した。日銀総裁に起用された黒田東彦氏は、金融緩和強化を強く訴えた。

 この政策提唱を背景に、2013年4月にかけて、日本の長期金利が低下した。米国長期金利上昇に加えて、日本長期金利低下が円安・ドル高を加速させた。しかし、日本の金利低下は、日銀が実際に金融緩和政策を決定すると中断し、逆に上昇に転じてしまった。したがって、本年4月以降は、いわゆる「アベノミクス」に基く円安・株高は生じていない。

 日本株価は円ドルレートとの強い連動関係を維持してきた。円高は日本株価下落を、円安は日本株価上昇をもたらしてきた。昨年11月14日以降、円安が進行したから日本株高が進行した。株高をもたらしたもうひとつの要因は、安倍政権が財政出動を実行したことである。安倍政権は政権発足直後に、13兆円補正予算の編成に進んだ。2012年度末に13兆円補正予算が成立し、大型財政政策出動が実行された。これも日本株高をもたらした重要な要因のひとつである。

 円安・株高が進行したことで、安倍政権は勢いを強めた。同時に、マス・メディアは、安倍政権を絶賛する報道を展開し、この結果として、安倍政権は7月21日の参院選にも勝利を収め、独裁政治を実行する環境を整えた。

 独裁政治を実行する環境を整えた安倍政権が日本にもたらす災厄については、拙著『アベノリスク-日本を融解させる7つの大罪-』http://goo.gl/xu3Usに詳述した。いま、その「アベノリスク」が私たちの目の前に、はっきりと姿を現し始めた。

 日本の主権者が、いま起きている日本政治の暴走を正確に認識し、この暴走に歯止めをかけてゆかなければ、日本は暗黒の坂道を転げ落ちることになる。

 話を本題に戻すが、昨年11月から本年5月までの円安と株高によって、日本経済に一定の明るさが広がったことは事実である。この経済の改善を維持して、国民生活の安定を確保することが政治の役割である。財政赤字が大きいことは事実であるが、赤字拡大の原因はサブプライム金融危機にともなう世界的な大不況であり、「循環的な」原因によるものである。

 循環的要因で拡大した財政赤字を増税などによって縮小させようとする施策は基本的に間違っている。1990年代の米国財政再建の例にならい、経済の回復を誘導し、自然増収を図り、そのうえで、構造政策に手を付けるのが正当な手順である。

 安倍政権が政権発足直後の半年間に日本経済の回復誘導に努めたことは間違っていなかったし、また、一定の成果をあげたと評価できる。しかし、政権発足から1年経過したいま、安倍政権の経済政策運営の方向は180度転換してしまった。アベノミクスはアベコベノミクスに転じてしまったのである。 

 拙著では、その詳細と2014年度に予想される大激震について、これまでの事実分析に基づいて明らかにしている。ぜひ、ご高覧賜りたく思う。
 『金利・為替・株価特報』2013年11月25日号のタイトルは、「日本株公的買い支えと調整接近のNY市場」とした。

※続きはメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第734号「2014年度の日本経済に差し迫る巨大なリスク」にて。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』


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