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表示規制の狭間で揺れる健康食品(6)~表示にすがる健食の功罪(下)「えがおの黒酢(4)」

2010年4月22日 14:28

一人歩きする「120倍」

 インターネット上では「えがおの黒酢」に関する口コミ情報が溢れている。「えがおの黒酢」でエンジン検索してみれば一目瞭然だ。グーグルでもヤフーでも十数ページにわたって、同品のダイエット効果や飲み方、栄養成分の優性について延々と語られている。「120倍」の語もほうぼうに躍っている。でも本当なのだろうか? どうも120倍というキャッチが一人歩きしているような気がする。
 疑問点は3つある。
 第一に、「一般食酢の約120倍のアミノ酸でぜい肉の悩みに、さようなら!」の120倍の黒酢のアミノ酸が何に対して120倍なのか、という点だ。一般の食酢といわれているが、食酢にも「米酢」「穀物酢」「リンゴ酢」などさまざまな種類がある。その対照がはっきりしていない。
 また、「えがおの黒酢」ホームページ上に掲げられている「えがおの黒酢のアミノ酸含有グラフ(文末の掲示)には、対照となる「一般の食酢」の量も規定されていない。(財)日本食品分析センターの分析結果には当然、検査した物質の量は記されているはずである。スーパーで数百円で販売している廉価品とこだわりの米酢では、アミノ酸の含有量も違うのではないか。当然、検査量が異なればアミノ酸含量は違ってくる。
非表示が意図的なものかそうでないのかはわからないが、いずれにしても一般の消費者には、「一般の食酢」が何なのかは皆目わからないし、なかには他社の黒酢だと誤解する者もいるだろう。法律違反とまではいえなくとも、親切な行為ではない。120倍が一人歩きしてしまう要因の1つには違いない。
 第二に、グラフ上では、必須アミノ酸の「トリプトファン」が1.58㎎と非常に低い値になっている。通常、トリプトファンの1日推奨摂取量は体重70キロ当たり280mg程度とされている。不足分を食物から摂取するにせよ、上記の数値だと、俗にいう「アミノ酸の桶」の論理で、栄養学的には適正な代謝が働かないのではないか。
 必須アミノ酸はすべてをバランスよく摂取しなければ、栄養学的には適性に作用しないといわれている(アミノ酸の桶)。この論理に対する疑問も一部にはあるようだが、その可能性は強いとされている。また、発酵の過程でトリプトファンなど一部の必須アミノ酸は他の物質に変化するともいわれており、裏を返せば、そのせいでこのグラフでは非常に低い数値が解析されたとも受け取られる。
 最後に、これが最も重要と思われるが、「えがおの黒酢」に含まれるアミノ酸の量である。本当に黒酢そのもののアミノ酸なのだろうか? これについては、次回詳しく述べることにする。


えがおの黒酢のアミノ酸含有グラフ(2粒中1.134g)


▼関連リンク
「えがおの黒酢」ホームページ

(つづく)
【田代】

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