自由×自主性で従業員を育てる新しい「どんぶり経営」（後）

（株）トリビュート

入社2年目の新人を新規事業部の管理職に抜擢

　リテール部とは、都心部のビル1階部分に限って借り上げ（自社所有含む）、テナント入居斡旋を行うというもの。2016年7月、新規事業部であるリテール部の課長として白羽の矢が立ったのは入社2年目の田辺慶二郎さん（22歳）だ。

　田辺さんは業界未経験で同社に入社した。佐賀県出身の田辺さんは高等学校卒業後、佐賀市内でサービス業に従事してきたが、「以前働いていたところへ訪ねてきた求人広告の営業マンを見て、自分も営業で稼ぎたいと営業職に興味を持ちました」。なかでも、不動産営業に興味を持ち、独学で14年度の宅地建物取引士の資格を取得。求人募集していた同社の門をたたいた。入社から2カ月後には自社所有物件を売却。その後も複数の売買契約を結ぶなど結果を残してきた。

基本はオールOKの新しい「どんぶり経営」

　田中社長は田辺さんや自社の社風に関して、次のように話す。「田辺には期待しています。彼は自ら問題点を見つけ、解決しようと頑張る。入社当初は人見知りでコミュニケーション力という意味では営業マンとしてのスキルは低かったかもしれません。ただ、『営業で稼ぎたい』という熱意を持っていたので採用しました。弊社はオールOKのある意味どんぶり経営です（笑）。『人を大事に 人を笑顔に』という経営理念から外れた行動を取らないかぎり、できるだけ自主性を重んじる自由な社風でありたいと思っています。ただ、結果に対しては厳しく、報酬をはじめとする人事評価は大きく差をつけるようにしています」――。

　同社は不動産売買における「売主」および「買主」であり、「仲介業者」の立場となることは少ない。その点では不動産営業マンのなかでも有利な立場にいるのかもしれない。しかし、業界未経験者が入社後2カ月で売買契約を締結し、その後も結果を残すのは並大抵ではないだろう。当然、田辺さんの成長は仕事へのひたむきさと誠実さという部分も大きいが、同社の自由で自主性を重んじる社風がその成長を何倍にも促進しているのだ。自由と責任は表裏一体だ。このことを理解したうえで働くことが、成長への近道であることを田辺さんは改めて気づかせてくれるのではないだろうか。

（了）

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：田中　稔眞
所在地：福岡市博多区博多駅前3-27-24 博多タナカビル8F
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東京支店：東京都港区虎ノ門2-9-14 郵政福祉虎ノ門第一ビル7F
ＴＥＬ：03-6257-3801
設　立：2009年4月
資本金：1,000万円
ＵＲＬ：http://tribute-company.jp/