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2017年08月08日 07:03

話題沸騰のバイオシミラー(後)

日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 では、韓国で話題になっているセルトリオンはどんな会社であろうか。

 セルトリオンは、世界で最初にバイオシミラーに参入した企業である。市場がまだ形成されていない新市場に、セルトリオンは果敢にチャレンジしたのである。バイオシミラー市場が今後有望であるとは思っていても、簡単に参入できるような市場ではなかった。セルトリオンの徐廷珍(ソ・ジョンジン)会長は、そのような市場に最初にチャレンジしたわけだ。最初に事業に乗り出す企業は、その道のりは険しいが、成功した暁には成果は大きいと確信し、徐会長は無謀にも近いチャレンジを行ったのだ。
 その成果が徐々に現れ、韓国では大きな話題になっている。セルトリオンは2000年に社員2名でスタートしたが、現在の社員数は1,100名まで増えている。時価総額は12兆ウォンを超え、時価総額ではKOSDAQ(コスダック)上場企業のなかで1位にランクされている。

 今年の売上高は8,604億ウォン、営業利益は4,886億ウォンが予想されている。認可申請中の製品も2~3あるため、2~3年以内には3兆ウォンの売上高も不可能ではないとされている。

 では、なぜセルトリオンはこのような快進撃を続けているのだろうか――。
 セルトリオンが開発したバイオシミラー「レムシマ」は、ヨーロッパで市販されて2年目になるが、すでに市場シェアは40%を占めている。アメリカでも今年の上半期に217億ウォンの売上を計上し、米国市場への参入に成功している。ライバル製品は来年になって市販予定で、1年間はレムシマの独占状態が続くとされている。
 レムシマは12年7月に、韓国KFDA(韓国食品医薬品安全庁)の製品認可を取得した。13年8月にはヨーロッパの認証を取得し、16年4月には米国FDA(アメリカ食品医薬品局)の認証を取得した。レムシマは現在、世界80カ国で販売されている。

 セルトリオンの2番目の製品である、乳がん治療剤「ハーセプチン」のバイオシミラーは、韓国を皮切りに世界各国で認証取得の手続きに入っている。3番目の製品である、血液治療剤「リツキサン」のバイオシミラーは、去年10月に韓国KFDAの認証を取得し、今年の2月にはヨーロッパでも販売認証を取得している。

 最後に、セルトリオンの創業者の徐会長は、どんな人物なのだろうか。

 徐会長は、バイオ医薬品とは縁遠い人である。大学では産業工学を専攻し、卒業後にサムスン電気に入社した。その後、生産性本部に転職し、そのときの顧客である大宇自動車に、役員として引き抜かれる。
 しかし、喜びも束の間、大宇自動車が苦境に陥り、徐氏は会社を辞めることになる。1999年のことだ。それから2000年に、大宇のときの同僚とセルトリオンの前身に当たる「ネクソル」という会社を設立し、バイオ医薬品産業に参入。この分野は、今後かなり有望な分野であるし、未開拓の分野なので、成功する確率が高いと徐会長は判断したからだ。

 徐会長は、バイオ医薬品については何の経験も知識もなかったので、情報収集と良いビジネスモデルを求めて渡米。2年間を米国で過ごした。その期間中に、徐会長はバイオ医薬品のベンチャー経営者と専門家に会って、バイオ産業の業界のことについてアドバイスを受けたり、良いビジネスモデルを模索していた。そうして徐会長は、韓国の多くの企業が選択した幹細胞または新薬開発では成功がおぼつかないと判断し、今のビジネスモデルを選択したのだ。すなわち徐会長は研究と開発を飛ばし、参入障壁は高いが、安定的なビジネスが維持できるバイオシミラーの生産部門にまず参入することにした。その戦略は見事に的中し、セルトリオンは急成長を遂げている。
 しかし、その当時の問題は、バイオシミラーを受託生産する工場を設立しようとすると、1,200億ウォンという莫大な資金が必要なことだった。ところが、徐会長はその資金を国内に求めず、海外の投資家に資金を求め、シンガポールの国富ファンドであるテマセックから合計3,500億ウォンの投資を誘致することに成功する。その後、海外から調達した資金の合計は1兆4,000億ウォンにも上る。
 もちろん、セルトリオンのその間の道程は、順調なものばかりではなかった。会社には何度も危機が訪れたりしたが、徐会長の持ち前の突破力で、それを解決した。

 バイオシミラー市場は有望な市場だけに、韓国ではサムスングループも次世代産業として参入している。韓国企業だけではない。グロバール製薬会社も続々と参入してくるであろうことは間違いない。そうしたなか、セルトリオンは今後どこまで成長するのか、市場では注目が高まっている。

(了)

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