2024年04月27日( 土 )

エンジン車がなくなる?~21世紀は電気自動車の時代に(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 こういった利点があり、技術的にはすでに電気自動車は現実のものとなっているが、現段階ではエンジン車、ハイブリッドカーに比べ普及していない。その理由の大きなもののひとつに航続距離の問題がある。たとえば日産リーフでみてみると、航続距離は280kmだ。1リットルで25km走行できるハイブリッドカーと比較すると約10リットル分の燃料に相当するに過ぎない。さらに、たとえばクーラーを使用する、ヒーターを使用するなど、電力を大きく消費する電装機器を使った場合、航続距離はぐっと落ち込んでしまう。さらに、充電設備が十分に整備されていないことも問題だ。目的地に向かう途中でうっかりガス欠ならぬ電欠を起こそうものなら、充電スタンドを探すために右往左往してしまう可能性もある。近年ではショッピングモールなどの駐車場に充電設備を設置しているところも多く見受けられるが、それでもガソリンスタンドに比べたら、まだまだといったところだ。さらに充電には時間がかかることもガソリン車との違いとして挙げることができる。近年、急速充電の技術が進化してきているとはいえ、リーフクラスで80%充電するために20分はかかるのである。

 さらに、ごく最近、話題となってきているのが蓄電池の劣化である。携帯電話で多くの方が経験したことがあるだろうが、電池は使用を続けていると利用できる時間が短くなっていってしまう。これは二次電池を利用した電気自動車でも同じで、航続距離を縮めるだけでなく、手放すときの価格の下落にもつながっている。電池の交換は可能で、費用は、リーフの場合、約60万円と言われているが、それでもやはりまだまだ高価と言えるだろう。

 これらデメリットのためか、EVの普及率は2015年段階で0.2%程度である。電気自動車はたしかにいいものだが、まだまだエンジン車に比べて劣る部分が大きい。それでも環境問題は待ったなしなのだ。21世紀中盤、エンジン車を販売してはいけない国が続々と出てくる。今後、この動きに同調していく国は増えてくることが考えられる。世界的な動きとして電気自動車へのシフトは始まっているのだ。見えている未来に向けて、電気自動車の技術はさらに向上していくことになるだろう。21世紀は電気自動車の時代になっていきそうだ。

(了)
【柳 茂嘉】

 
(前)

関連キーワード

関連記事