2024年04月19日( 金 )

御注進!閉鎖を勧告します!!~福岡証券取引所(前)

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 福岡証券取引所は、全国4カ所(札幌、東京、名古屋、福岡)ある証券取引所の1つ。1949年の設立以来、地域経済の発展とともにあったが、株取引の電子化により地方証券取引所の取引量は激減。地方市場への単独上場の意味合いが薄れ、東証との重複上場がもはや当たり前となっている。株取引がない証券取引所に存在意義はあるのか。

トヨタ上場廃止

 証券会員制法人福岡証券取引所(以下、福証)は1949年6月に開設された金融商品取引所。現在の理事長は福岡空港ビルディング(株)社長や同社顧問を歴任した小田原智一氏。同氏は2017年5月、新理事長に就任した。

 福証における17年12月27日現在の上場企業の数は、単独上場26社(【表Ⅰ】参照)、重複上場113社(本則市場99社、Q-Board14社)の総数139社。近年、減少の一途をたどっており、福証の上場企業数は総数159社であった5年前から20社減っている(【表Ⅱ】参照)。

 また、17年10月の九州旅客鉄道(株)、同年12月の(株)エストラストのように福証の本則市場に上場した企業はあったが、どちらも東証との重複上場。その一方で、(株)九州リースサービス(16年11月)、(株)正興電機製作所(17年11月)、(株)南陽(17年12月)のように福証単独上場から東証二部との重複上場に転じたケースもある。

 さらに17年11月、トヨタ自動車(株)が福証における上場廃止を申請(18年1月に正式に廃止の予定)。「長期間取引高が少ない」として、上場の意義を否定されるかたちとなった(【表Ⅲ】参照)。

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株式電子化で統合へ

 福証の上場企業が減少する要因は、トヨタが指摘する取引高の少なさだ。証券市場の規制緩和で株式の電子化が進み、株取引はより身近になった。個人投資家が増加する一方で、かつて「場立ち」と呼ばれる証券マンが取引所で手ぶりなどをしながら行っていた取引は旧時代のものとなり、株取引の効率化が進められている。

 13年7月、東証に次ぐ規模であった大阪証券取引所の現物市場(第一部・第二部・ジャスダック)が東証へ統合。株取引は、銘柄数の多い東証が中心となり、地方取引所の銘柄数・取引高が減少する流れができあがった。この流れの打開策として福証では、10年から海外企業も上場できるように規則を改正したが、いまだその成果はない。

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(つづく)
【道山 憲一】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:小田原 智一
所在地:福岡市中央区天神2-14-2
設 立:1949年6月
資本金:1億6,800万円
業 種:金融商品取引所
売上高:(17/3)2億4,692万円

 
(後)

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