2024年05月18日( 土 )

職業安定法の改正

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 2022年10月1日から、職業安定法(職安法)の改正法が施行されています。
 求人を行う企業に対して、求人情報、自社に関する情報や事業の実績に関する情報について、的確な表示が法律で義務付けられています。具体的には、前記事項について虚偽の表示・誤解を生じさせる表示をしてはならないこと、また正確かつ最新の内容に保たないといけないことが求められます。

 誤解を生じさせる表示の例として、次のようなものが指摘されています。

①職種や業種について、実際の業務の内容と著しく乖離する名称を用いること
 例:営業職中心の業務を「事務職」と表示すること、契約社員の募集を「試用期間中は契約社員」など正社員の募集であるかのように表示すること

②固定残業代を採用している場合に、基礎となる労働時間を表示せず、あるいは基本給に含めて表示すること

③求人を行う企業とグループ企業が混同されるような表示をすること
 例:A社のグループ会社B社の求人を「A社は優秀な人材を必要としています」などと表示すること

④モデル収入例を、必ず支払われる基本給のように表示すること
 例:社内でとくに給与が高い労働者の給与を、すべての労働者の給与であるかのように例示すること

 また、求人情報を正確・最新の内容に保つために、募集を終了・内容変更した場合、速やかに求人情報の提供を終了・内容変更をするなどの対応が必要になります(自社の採用ウェブサイトなどを速やかに更新する必要があります)。さらに、いつの時点の求人情報か明らかにするなどの対応が必要になります。

 どれも当たり前のことが規定されただけとも思えますが、ダミー求人の掲載などがまかり通ってきた現実にメスを入れたものといえます。

 また、従前は、「求人企業」または「求職者」の依頼を受けて、求人情報・求職者情報を提供するものが職安法の規制対象でしたが、改正法では、Indeedなどの求人検索エンジン(求人情報・求職者に関する情報をクローリングして収集した情報を提供するもの)にも職安法の規制がおよぶことになり、前述の求人情報の的確表示義務が課されることになりました。

岡本弁護士
岡本弁護士

    Indeedでも法改正を踏まえて、社名非公開の求人の掲載はポリシー違反とされ、また社名非公開の求人や「実際に募集を行う企業と別の企業の名前での求人掲載」などは、アカウントランクが落ちるという調整が行われているようです。

 一方で、フリーランスエンジニア案件には、非公開案件が多く存在しているといわれています。会社の中枢に関するシステム開発などでは、機密情報もあるため非公開とされるケースが多くありますが、このような非公開案件についてもアカウントランクが落ちてしまい、有料広告の表示回数などが激減してしまうようです。そのため、別の募集方法などを検討する必要が出てきます。


<INFORMATION>
岡本綜合法律事務所

所在地:福岡市中央区天神3-3-5 天神大産ビル6F
TEL:092-718-1580
URL: https://okamoto-law.com/


<プロフィール>
岡本  成史
(おかもと・しげふみ)
弁護士・税理士
岡本綜合法律事務所 代表
1971年生まれ。京都大学法学部卒。97年弁護士登録。大阪の法律事務所で弁護士活動をスタートさせ、2006年に岡本綜合法律事務所を開所。経営革新等支援機関、(一社)相続診断協会パートナー事務所/宅地建物取引士、家族信託専門士。ケア・イノベーション事業協同組合理事。

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