自社の強み活かした集大成、ついに新本社社屋が完成

（株）末永工務店

幅広い居住ニーズに対応する5階建て

    旧社屋を建替え、自社で設計・施工を手がけた（株）末永工務店の新本社「Siempre（シエンプレ）長丘」が、3月23日に竣工した。1,107.30ｍ2の敷地内にRC造による耐震、安全性を重視した5階建の建物（延床面積1,995.50ｍ²）だ。賃貸マンションと事務所の併用建物で、賃貸マンション部分は全19戸で構成されており、単身者からファミリー層まで幅広い入居ニーズに対応。1LDK（52.91ｍ2）、2SLDK（60.75ｍ²）、3SLDK（70.21ｍ²）と3タイプの間取りを用意した。全戸南向きで、無料の高速インターネット、さらに駐車スペースには今後のEV車普及を考慮して充電設備（2区画）を設けていることも特徴となっている。4月末時点で、すでにほぼ満室となっているようだ。

　同社の本社事務所は1階と2階の一部に入居しており、事務所での業務は4月10日にスタート。14日に関係者にお披露目された。末永正伸社長は「新たな事務所開設によって気分が一新。社員一同、より新鮮な気持ちで事業に取り組める」と語っていた。

    RC造の賃貸マンションは、末永工務店が最も得意とする事業領域。コンセプトや計画立案など長年の施工で培ったたしかな企画力をベースに、敷地に合わせた建物配置、間取り、デザインなどを経験豊富な設計士が関係法令を踏まえて設計し、オーナーが長期・安定的に収益を確保できる事業計画を提案する。また、賃貸住宅は入居者が住みやすく、住む喜びを感じられる住宅環境の創造も重視。グレードの高い設備の導入に加え、入居者ニーズを汲んだ建物を実現する。「シエンプレ長丘」にEV充電器を設置したのは、そうした点を考慮したものに他ならない。新社屋は65年以上のノウハウの蓄積と経験が反映された、同社の集大成ともいえよう。

    さて建設業では、全般的に人材難や資材高騰などさまざまな課題を抱えているが、それは末永工務店にとっても例外ではない。とくに「人材確保は重要。なかでも当社ではメンテナンス業務を重視しており、監理技術者など有資格者の確保・育成が急務となっている」（末永社長）と指摘している。

九州では珍しい赤外線外壁調査事業

　ところで同社は、九州の建設会社では数少ない「赤外線外壁調査」事業を展開している。赤外線外壁調査とは、異なる時間帯に赤外線を外壁に照射し、外壁の「浮き」で生じる空気の温度差を確認することで、外壁剥落のリスクを診断するもの。同社では赤外線サーモグラファーを使用し、専門資格者によるビルやマンションの外壁（タイル、モルタル）診断を行っている。

　築後10年以上経過した5階以上のマンションなどでは、劣化状況の報告が法律で義務付けられているが、足場の設置が必要となる「打診調査」よりも低コストで実施できるのが特徴だ。マンション率が高い福岡市では今後、老朽化マンションが増加していくものとみられ、「これからコンスタントに診断業務が入ってくるようさらに強化したい」と、末永社長はこの事業への期待を高めている。

　分譲および賃貸マンションの大規模改修の実績も重ねており、LED照明取替をメーカーと連携して実施しているほか、建物共用部の清掃、賃貸マンションの入退去時の美装から、エアコンクリーニングまで、建物や設備の「キレイ」を保つ業務なども展開している。それらは総合建設会社ならではネットワークを生かしたものであり、末永社長は「事業を通じて福岡のまちづくりに今後も貢献していきたい」と話している。

【田中　直輝】

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：末永　正伸
所在地：福岡市南区長丘5-21-20
設　立：1967年4月
資本金：4,500万円
ＵＲＬ：http://www.suenaga-k.co.jp