2024年05月06日( 月 )

チャレンジを続け九州有数の印刷企業に 総合的な販売促進支援企業へと脱皮を図る

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アド印刷(株)

変化する印刷業界で成長し続ける

 印刷業界はSDGsの浸透にともなうペーパーレスの普及、コロナ禍でのリモートワークの普及により、近年事業環境が大きく変わった。加えて、ロシアのウクライナ侵攻にともない、昨年以降、紙、インクなど各種原材料の価格が高騰している。紙印刷の出荷額はピーク時で約9兆円あったが、現在は約4兆円に減り、今後は約3兆円にまで減るとの予測もある。印刷は私たちにとって身近なものであるが、自業者のなかには、少なくない事業者が淘汰されていくとの予測もある。

 その印刷業界において、九州の企業で上位の売上高を誇るまでに成長した企業がアド印刷(株)だ。コロナ禍で同業者の多くが影響を受けるなか、同社は影響を最小限に食い止め、2023年2月期の売上高はコロナ以前の19年2月期以来となる70億円台に乗せるなど、成長を続けている。

(株)アド印刷 本社社屋
本社社屋

    福岡市博多区に本社をもち、今年創業45周年を迎えた。早くから東京に進出するなど全国展開を行っており、東京・大阪周辺での売上が半数以上を占める。同社は印刷業から出発したが、「印刷」にとどまることなく、時代の一歩先を常に見据え、チャレンジを続けてきた。現在では、「ダイレクトマーケティング」「Webプロモーション」「印刷プロモーション」「プランニング・クリエイティブ」「印刷・加工」「メーリング事業」の6つのサービスを柱に事業を手がけている。時代の流れに先んじたオリジナル商品の開発や、印刷からメーリング、DM発送代行まで一括で社内完結するワンストップサービス、ウェブ事業をはじめとするクロスメディアに積極的な取り組んでいる。クライアントの収益拡大のためという想いからさまざまな媒体での提案を行っている。

チャレンジと改革を続ける

アド印刷(株) 古賀 照也 代表取締役社長
アド印刷(株)
古賀 照也 代表取締役社長

    同社は「いま、もっと新しいこと」をモットーに成長を続けている。自身も挑戦を続け社員にもチャレンジを奨励してきたのが、創業者の田平保男取締役会長だ。印刷業界の節目となる時期において、大規模な投資を大胆に行い、今後の柱となる事業を育ててきた。そして昨夏、今後の舵取りを若い古賀照也代表取締役社長に託した。古賀社長は08年にアド印刷に入社、12年からウェブ事業の新規立ち上げに携わっている。ウェブ事業は15年の事業部化を経て、現在、同社の売上高の約1割を占めるようになった。

 新規顧客の窓口としてウェブ事業の重要性は高まっており、そこから印刷の受注も入ってくる。これはDM(ダイレクトマーケティング)で通販事業者の顧客への支援を積み重ねてきた評判によるものだ。ウェブ事業を中心に営業力を高めるため、この4月から体制を変更、紙印刷を含め営業社員はすべての商品を扱うようになった。社員1人ひとりがスキルを求められる現代においてはスキルを特化させようという傾向がみられるが、同社では、顧客に幅広い選択肢を提供するというニーズから、このように営業に関しては1人ひとりが幅広く知識を身につけて対応力を高めようとしている。

 これには、印刷部門の若手を中心に、ウェブ商品も顧客に提案したいという声が多く寄せられていたこと、SDGsが推奨され、印刷の原材料費が高騰するなかで、ウェブ事業は伸びしろが大きいという認識によるものだ。同社の事業は現在、印刷とDMが主な柱となっているが、ウェブ事業の売上高に占める比率を倍に高め、3本目の柱としていくという。チャレンジの一方で古賀社長が抱くのは、「ある事業において不測の事態が発生した場合でも、柱となる事業がいくつかあれば会社は倒れずに継続させられます」との会社と社員を守り抜くという経営者としての覚悟だ。

 実際、紙に印刷することに固執しなければ、広告のマーケットは無限に広がっている。コロナ禍で外出自粛を強いられたなか、通販業界は成長を続けており、新規参入も後を絶たない。そして同社は22年からYahoo!広告のセールスパートナー(星1つ)に認定された。パートナーには広告代理店が並ぶなか、印刷と名の付く企業は同社のみだ(23年4月時点)。

 社員がチャレンジするうえで、新しいことに触れたり学んだりする環境があるのが好ましい。社員の研修、自己学習の必要性が叫ばれる時代でもある。同社では、社員が学習を行いやすいよう、毎月、勤務時間中の3時間を社内外のセミナーの視聴などに充てることを奨励する制度を設けた。昨年から準備を始めており、一部はスタートしていたが、4月から本格化させている。古賀社長は「昨年と同じことをしても、昨年以上の成果は得られません」と語るが、厳しい事業環境のもと、こうした機会のなかで気づきが生まれ、新たなチャレンジが生まれていくのだろう。チャレンジと学習と、成長を促す機会がここにはある。

販売を促進・支援する総合的な事業者へ

(株)アド印刷 福岡工場(博多区半道橋)
福岡工場(博多区半道橋)

    同社が顧客に提供するサービスは、紙であれウェブであれ、ほぼすべてが販売促進に関するもの。「地域、世の中に必要とされる仕事を増やしていきたい」「今ある事業も含めて、受注先の顧客とDMを受け取るお客のことまでを思いながら仕事ができているかと問い続ける」「社員には、日本を少しでも明るくしようという意識をもってもらい、皆でモチベーションを高めていきたい」と古賀社長は想いを語る。そのために、毎月各拠点を訪問し、各現場での研修に参加し、若い社員に直接会い、思い描く会社像と取り組みについて話し合うことを続けている。田平会長同様、古賀社長も社員の自主性に委ね、チャレンジを奨励する経営者であろうとしており、社員もそれに応えようとし続けるだろう。

 印刷業界を取り巻く事業環境は厳しいが、そのなかで残っていく事業者には一定のチャンスが生まれてくるはずだ。進取と挑戦、時代を常にリードする気風をもつアド印刷は、印刷業者から総合的に販売を促進・支援する企業へと生まれ変わりつつある。目指すは「販促といえばアド印刷」というポジションだ。


<COMPANY INFORMATION> 
代 表:古賀 照也
所在地:福岡市博多区榎田1-3-23
設 立:1978年7月
資本金:4,000万円
TEL:092-472-9871
URL:https://www.ad-printing.co.jp

<RECRUIT> 
募集職種:営業職(東京・大阪・福岡)
応募資格:BtoB営業経験者
採用予定:1~2人
問合せ先:092-472-9871
     saiyou@ad-printing.co.jp
採用担当:管理本部・塚原


<プロフィール> 
古賀 照也
(こが・てるなり)
1979年生まれ、福岡県筑後市出身。久留米工業高等専門学校卒業。2008年アド印刷(株)入社、Web事業部長、取締役を経て22年8月、代表取締役社長に就任。

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