2024年05月20日( 月 )

プレカット木材の加工・流通を核に、住宅供給を縁の下で支える

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(株)キユーハウ

60年以上の歴史を有する
地域に根ざした住宅資材販売会社

キューハウ本社
キューハウ本社

    住宅は人々の暮らしに直結する欠かせないものだ。その供給に携わるハウスメーカーや地域ハウスビルダーは今、建設コストを横目に見ながら、安全・快適な住宅を供給するためにしのぎを削っている。そんな彼らを縁の下で支えるのが住宅資材販売会社である。(株)キユーハウは福岡県におけるその業界を代表する企業であるとともに、今や住宅建設において不可欠なものとなったプレカット木材の供給において九州を代表する企業でもある。

 同社は1957年に「福岡ベニヤ商会」として創業、61年に株式改組し、71年に「九州ハウジング(株)」に、そして85年に現社名に変更している。2018年末に持株会社「(株)キユーハウホールディングス」を設立し、傘下に4つのグループ会社を束ねる体制となった。創業から現在まで、一貫して「地域社会のより良い住まいづくりへの奉仕」を企業理念とし、事業を展開している。

 九州内に10の営業拠点を配置。商材はシステムキッチン・バス・洗面化粧台・トイレなどといった暮らしの利便性を高める住宅設備機器や、住空間を彩る内装材・建具、建物を印象づける外装材など多岐にわたる。それら豊富な商材を有しているのは、65年以上の業歴で築かれたそれぞれのメーカーなどとの深い信頼関係があればこそだ。そして、なかでも同社の事業を際立たせているが、プレカット木材の加工・販売である。

ジャスト・イン・タイムの供給などで、
地域ハウスビルダーを支援

プレカット木材
プレカット木材

    プレカットとは、住宅1棟を建設するために必要な木材を工場において設計図通りにすべて加工する仕組みのことをいう。現場で木材を加工する必要が少なくなるため、それ以前の住宅施工に比べて品質安定化、省力化などを図ることができる。騒音や木くずを原因とする近隣とのトラブルがおきにくいこともメリットの1つである。プレカット材とそれを供給する仕組みは、住宅業界において大工・職人不足が不足し、さらには住宅供給者間でのコスト競争が激化するなかで、とくに木造住宅供給事業者によってなくてはならない、重要な位置を占めるものとなっており、地域の事業者が大手ハウスメーカーに対抗する有力な武器となっている。

地域ビルダーなどへの出荷を待つ木材
地域ビルダーなどへの出荷を待つ木材

    グループ企業でプレカット加工などを手がける九州ハウジング(株)、輸送部門を担う(株)キユーロジと連携することで、ハウスメーカーやビルダーの施工現場に「ジャスト・イン・タイム」で部資材、設備機器などを供給できることも特徴の1つである。「必要なものを、必要なときに、必要なだけ提供」することで、ハウスメーカーや工務店はそれらの保管場所を確保する必要がなくなる。また、工程に合わせた円滑な作業が可能になるため、大工や職人の仕事に余裕が生まれ、加えて工期の短縮、施工費の圧縮などといったより幅広いメリットが生まれる。

 「プレカット木材については当初、大工さん各人の職人技が発揮できなくなる、と反発も受けました。しかし、プレカットそのもののメリットに加え、ジャスト・イン・タイムでの対応を行うことなどにより、急速に受け入れられるようになりました。住宅資材を取り扱う企業は多いですが、プレカット材のきめ細かな加工、それをジャスト・イン・タイムで現場に搬入する業務までを一貫して行って供給する会社は多くはありません」と、岩永彬社長は話す。

非住宅の木造建築物普及で、
カーボンニュートラル実現に貢献へ

(株)キユーハウ 岩永彬社長
(株)キユーハウ 岩永 彬 社長

    そうした強みに加え、近年は上棟工事や木工事の代行、いわゆる「サブコン」と呼ばれる業務を行ってもいる。上棟工事を行う際には多くの人が必要になるが、住宅業界は今、深刻な人手不足。繁忙期には作業を行う人を確保できないケースがあるためで、近年依頼が増えているのだという。

 「このほか、瑕疵保険や性能評価認定、『こどもエコすまい支援事業』など、国や自治体による補助金制度の認定書の取得のお手伝いも行っています。このような工務店サポート業務も含めたさまざまなサービスの展開により、業務の付加価値を高めることなどでも成長してきたのです」(岩永社長)。

 ところで、地球温暖化対策、カーボンニュートラル社会の実現が社会課題となるなか、従来まで鉄骨造や鉄筋コンクリート造で建てられることが多かった、公共建築物や民間建築物(商業施設など)を木造化する、「木造非住宅」を普及させようという機運が今、我が国においても広がりつつある。キユーハウはプレカット木材の供給を通じて、その動きを後押ししようとしている企業でもある。たとえば、同社は県内の地場ハウスビルダーの集まりである(一社)福岡県木造住宅協会の事務局を担当しており、国産材の活用促進に貢献しようとしている。今後、少子高齢化による人口減で住宅市場は次第に縮小することが予想されるなか、木造非住宅市場はハウスビルダーにとって新たな活躍の場になると見られているからだ。

 「九州は森林資源が豊富であり、当社は各地からプレカット用を含め多くの木材を調達するなど木材の産地とも密接な関係を築いています。コストや強度の確保など、木造非住宅の普及にはさまざまな課題がありますが、川上である産地と、川下である建設事業者・エンドユーザーの仲立ちをする立場として、この分野にも注力していきます」(岩永社長)。

 住宅部資材、設備機器、そしてプレカット木材の供給を通じて、福岡、九州の住宅供給、人々の豊かな暮らしの実現に貢献してきたキユーハウ。これからも時代の変化、要請に合わせて事業を継続、成長していくに違いない。


<COMPANY INFORMATION> 
代 表:岩永 彬
所在地:福岡市東区箱崎ふ頭4-3-5
設 立:1961年4月
資本金:4,500万円
TEL:092-631-3781
URL:http://www.kyu-hou.co.jp

<RECRUIT> 
募集職種:営業職、CAD職、総合事務職、生産職
応募資格:専門学校卒、大学卒(生産職は高卒以上)
採用実績:2023年度 /7人
採用予定:10人
問合せ先:092-631-3781
採用担当:阿部、迎、久徳


<プロフィール> 
岩永 彬
(いわなが・あきら)
1971年福岡市生まれ。山口大学経済学部卒。大手ハウスメーカーに勤務した後、(株)キユーハウに入社。60歳を契機に引退した父(清現会長)の後を継ぎ、2001年に30歳で代表取締役社長に就任。福岡県木造住宅協会事務局担当として、国産木材の活用にも貢献している。

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