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2017年04月20日 14:58

溶けて溶けてどこへ行くの? 我々には覚悟はあるか(9)~巨星堕ちる・ソロン田原学氏(8)

故人田原学氏知らないところで

 2012年8月には田原社長の病気は発病しており、経営の判断及び陣頭指揮は無理であった。その間隙を縫ってゴルフ場関係者は『永久債』なるものを会員へ送りつけていたのだ!!1回目の返還延長にへとへとになった苦い経験を踏まえ、安易な脅しを突きつけるような『永久債』を送りつけて会員に大顰蹙を買い、懸念を抱かせたのである。弊誌IB No.1757(2012年8月2日)号で発信した情報を紹介しよう。


窮地に陥る名門ゴルフ場 「債権放棄依頼」の行く末は

ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ

 福岡県内有数のゴルフ場である「ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ」が、存亡の危機に立たされている。2012年7月1日付で同クラブの全会員に対して、『会員資格保証金の永久債への転換のお願い』と題した文書がリリースされていた。率直に言うと、「プレイ権を確保するので、保証金返還は諦めてほしい」という、一種の債権放棄の依頼である。会員各位がそれに同意するのか、あるいは法的手続きによって会社が整理されるのか―。会員資格保証金返還の期限は、12年11月末日に迫っている。

優良なロケーションで人気を博す

会員資格保証金の永久債への転換のお願い

 「ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ」(運営会社:(株)ザ・クイーンズヒルゴルフ場)は、1990年12月に、前原市(現:糸島市)にてオープンしたゴルフ場である。敷地面積110万m2で、18ホール・7,054ヤードのコースを有しており、業界関係者は「広大な敷地で、ゆったりとした感がある。アメリカのコースを意識しているのだろう」と語る。また、実際のプレイヤーからの感想も概ね満足度は良好で、広々としたコースでプレイしやすく、スコアが伸びるとの評だ。同ゴルフ場のコース設計におけるアドバイザーには、日本女子ゴルフ界で時代を築いた岡本綾子氏が名を連ねている。

 同ゴルフ場は、日本最古の歴史と伝統を誇る「日本プロゴルフ選手権大会」が01年5月に開催されているなど、名門コースとしても著名である。また、西九州自動車道の前原I.Cから600mの距離に位置し、アクセスが良いことも特長となっている。福岡市などの近隣の都市からの所要時間が30〜40分であることは、周辺のゴルフ場である芥屋・雷山・伊都に比べて、アクセス面において優位性を持っている。

過去に破綻した2つのゴルフ場

 当時を知る地元ゴルフ業関係者は、「短期間に3つもゴルフ場を所有して、本当に大丈夫だろうかという声はたくさんありました。本業のマンション事業でも、所謂“力技”での経営の色合いが強かった田原さんでしたから、いつか息切れするのではないかと思っておりました。予想通り、過去に所有していた大分サニーヒルゴルフ場と阿蘇大津ゴルフ場は経営難に陥り、“絶対に手放さない”と表明していたものの、民事再生法の適用申請でオリックスの手にわたりました。今回の『永久債』の件も、田原さんは前回同様“自分の存命中は、ザ・クイーンズヒルは手放さない、売却しない”と明言しているようですが、もうそんなことを言っていられる状態ではないでしょう」と語った。

 (株)大分サニーヒルゴルフ場と(株)阿蘇大津ゴルフ場は、08年9月16日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日、保全命令を受けた。負債総額は、大分サニーヒルゴルフ場が約42億9,000万円、阿蘇大津ゴルフ場が約45億8,000万円の、両社合計で約88億7,000万円を抱えての破綻であった。当時の再生計画案は、「会員への弁済率は2.5%で、退会会員は6カ月以内に一括弁済すること」「継続会員は新預託金」「裾置期間10年」「満了後の退会は当初の預託金の3.5%を弁済する」というもので、債権者の認可を受けて東京地裁の認可決定を受け、10年3月に再生手続終結の決定を受けた。

 今回の永久債の件は、「その当時と同じ感がある」と見る業界関係者が大半である。

資金調達力は限界 半ば開き直りの対処

 同社の会員資格保証金の総額は約118億円と言われ、また、有利子負債約22億円を抱えていると推察される。同ゴルフ場の来場者数は年間4万人、売上高は7億円台で推移しており、当期利益が100万円前後の規模で、ゴルフ場経営を継続しても、到底、資金を調達できる財務状況でないことは明白である。そのため、会員資格保証金を放棄してもらうか、同社が所有資産を売却して調達するかになるだろう。

 この件で取材した地元業界関係者からの話は、次の通りだ。
 「この11月に会員権の償還期限が来ますが、クイーンズヒル側はメンバーに『永久債として保有を続けてほしい』と打診しており、これは事実上の“債権凍結”です。さらに、『もし会員が訴訟を起こしたら、民事再生・会社更生法の適用申請や破産の手続きに入りますよ』というメッセージも発しています。これは、会員に対しての“脅し”に近いものです。民事再生などの法的手続きをした場合でも、同じことです。どちらに転んでも、『会員資格保証金は諦めろ』ということです。

 同社のトップの田原さんは、『絶対にどこにも売却しない』と今もなお表明しているようですが、それについては承認する会員が多数だとは思いますが、10%くらいは異議を唱えるメンバーも存在するのではないでしょうか。つまり、会員は一枚岩ではないのです。

 そのようななかで、3分割で会員資格保証金の返還を完了した会員もいます。要は、“騒ぎ立てそうな会員”に対しては、返還する方向で進めているのです。『あまり表沙汰にしてほしくない』など、“モノを言わない会員”に対しては、何もしないのです」。
 この通り、同社は半ば開き直りの対処であることが明白である。

事業再生か それとも終焉か?

 続けて前出の業界関係者は、今後の動向について次のように話す。
 「この『保証金を返還しなくていい』という、負担がないという条件であれば、同ゴルフ場を買収する企業は続出するでしょう。仮に10億円で買収しても、10年でペイできますよ。外資系も虎視眈々と狙っているようです。とくに韓国系はそうです。というのも、韓国系企業が所有しているゴルフ場は、あまりアクセスが良好ではありません。同ゴルフ場は空港から近く、西九州道から降りてすぐ到着できるという立地はとても魅力です。外資系、国内問わず、同ゴルフ場は喉から手が出るほどほしいですよ。ただし、韓国系企業からの買収に関しては、敬遠する傾向が強いです。同ゴルフ場に関しては、業界内ではとくにオリックスが強い関心を示しているという話です。08年9月に破綻した大分サニーヒルと阿蘇大津も、田原さんが当時オーナーで、スポンサーがオリックスになりました。その経緯からも、オリックスは今回もすぐに手を挙げるでしょう。

 同ゴルフ場は営業手法を工夫すれば、もっとお客さまを呼べて、業績も収益も上昇することは誰しもがわかっていることです。もし、同ゴルフ場が破綻してスポンサー企業が支援することになれば、スポンサー企業の方針をすべて反映できますから、今までの“殿様的”な経営はないでしょう。的確な経営戦略で立て直し、経営再生が実施されることでしょう。

 クイーンズヒルは、糸島市内の3つゴルフ場、芥屋・雷山・伊都のロケーションの真ん中に位置しています。何度も申しますが、立地条件やゴルフ場自体の設計は、他のどこよりも優れているのです。的確な営業手法を実践すれば、必ず再興します。裏を返せば、芥屋・雷山・伊都の顧客が同ゴルフ場へ流れることで、その3つのゴルフ場が厳しくなることになります。それほど同ゴルフ場には、可能性があるのです。償還期限の11月前後が、ターニングポイントではないでしょうか。

 また、面白い話で、法曹関係者からの情報では、弁護士らがクイーンズヒルの会員に対して法的手続きするようけしかけているようですよ。弁護士業における商売の案件が必要ですから。過払い利息返還のケースと同じ次元ですよ。会員数は500名くらいいますから、案件としては大きなものとなります」。

 一方で、ゴルフ経営から撤退し、「同ゴルフ場のコースを宅地造成して住宅仕様にした方が良い」という見方をする関係者もいる。

 たしかに、前線開通した福岡都市高速と連結している西九州道の前原I.Cから近い好ロケーションを活用して、110万m2という広大な敷地を新たな街づくりとして再開発するプロジェクトを興すことも一考されるべきであろう。緑と静寂に囲まれた環境のなかにありながら、福岡都心部への通勤圏であることは、大きなアドバンテージとなる。

 いずれにせよ、自主再建は極めて困難な状況下である同社。どのような選択を行なうのか、同ゴルフ場会員らが訴訟を起こすのか―。11月までの間、その動向に注目である。

<COMPANY INFORMATION>
(株)ザ・クイーンズヒルゴルフ場
代 表:田原 学
所在地:福岡県糸島市富838
設 立:1990年12月
資本金:2,000万円


 

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