2024年05月20日( 月 )

【電力システム改革の動向】 地域新電力会社めぐり延岡市が九電へ抗議文、国に調査を要請

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

 政府が電力システム改革を進めるなか、各地で地域新電力会社の設立が計画され、宮崎県延岡市も100%出資して「地域新電力会社」の設立を進めている。同市が2月に発表した事業計画によると、2021年度中に設立し、一般家庭や事業所に販売する予定で、市の財源安定への寄与、地域の電気料金の引き下げが期待される。2月には市民への説明会や意見公募も行われた。

 現在、同市はこの新会社の設立をめぐり、九州電力に対して抗議文を送付するとともに、保坂伸・資源エネルギー庁長官、河野太郎・規制改革担当大臣に対して九電への調査依頼書を送付している。

 同市は九電に対し、次の2点を批判している。九電による「延岡市が設立する新会社の容量拠出金の負担は多額になるので、赤字になる」との説明は、根拠なく試算した拠出金額に基づくものであると指摘。小売会社の設立を阻止するのであれば、電力システム改革の大きな柱である小売全面自由化を妨害するとともに、地方自治を侵害する行為であると抗議している。

 また、九電が延岡市の新会社と営業形態が類似しているとして、岡山電力(株)のデータを同社に無断で九州電力送配電(株)から入手し、拠出のない拠出金額の試算を行ったことに対し、その違法性を問題視。加えて、分社後の送配電会社から顧客データを入手するという、電力システム改革の大きな柱である「送配電部門の分離・中立性の確保」を形骸化・否定する行為であると批判している。

九州電力(株)に対する抗議文
九州電力(株)に対する抗議文
調査依頼文書(資源エネルギー庁長官宛)
調査依頼文書(資源エネルギー庁長官宛)
調査依頼文書(規制改革担当大臣宛)

【茅野 雅弘】

関連キーワード

関連記事