2024年05月20日( 月 )

人生はたまたまの連続 捉え方次第で未来は変えられる(前)

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(学)国際学園 九州医療スポーツ専門学校 理事長 水嶋 章陽 氏

(学)国際学園
九州医療スポーツ専門学校
理事長 水嶋 章陽 氏

 北九州市小倉北区に本部を置く(学)国際学園は、柔道整復学科や鍼灸学科、看護学科といった11学科で専門教育を推し進める北九州屈指の医療系専門学校グループ。傘下には九州医療整形外科・内科リハビリテーションクリニックなど9つの法人や組合などが顔を並べる。そして今年は和歌山県有田市に新たな専門学校を開校する。水嶋章陽理事長に話を聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 執行役員 鹿島 譲二)

自治体の誘致に応え、地域の活性化を

 ──もうすぐ新しい専門学校を開校されますね。

 水嶋章陽氏(以下、水嶋) 4月に和歌山県有田市にて「和歌山医療スポーツ専門学校」を開校します。一般的に専門学校をつくるには生徒獲得のため相当な規模のまちでないといけないとされていて、同市の人口はわずか3万人弱ですから、一見すると不向きかもしれません。しかし、有田市は高等教育機関不足にともなう若者の県外流出を大きな課題としていることから、私たちに対してとても大きな期待を寄せてくれており、市全体がとても協力的であることから開校を決めました。もちろんそこには私たちなりの勝算があります。それは有田市の特異なロケーションです。大阪、岸和田、和歌山を一直線に結んだ延長線上にあり、有田市の近郊はもちろん、県南部の学生たちに選択してもらえる可能性が十分にあるとにらみました。

 まず開設する学科は柔道整復師の国家資格取得を目指す柔道整復学科とスポーツトレーナー学科です。とくに柔道整復師は整骨院の独立開業や医療機関への就職などが見込まれる有望な資格です。しかも柔道整復学科を設置した専門学校は和歌山県では初ですから、大きく注目されています。

 校舎は閉校した初島中学校校舎および体育館を活用します。運動場を駐車場として整備し、2025年度には介護福祉学科、27年度には救急救命士学科を設置する計画です。また、今年9月には外国人学生を迎え入れる予定です。付け加えると有田市はスポーツに大変関心の高い街です。県立箕島高校があり野球は有名ですし、その他の競技でも優れた選手がたくさん生まれています。スポーツトレーナー学科においてスポーツクラブや教室などで活躍する人材を輩出していくことが、きっと同市の若者の県外流出を止める起爆剤になるでしょう。

 「和歌山医療スポーツ専門学校」は、医療・スポーツの情報発信基地とします。そして和歌山県有田市から日本全国・世界へと健康に関するさまざまな情報を発信していきたいです。このような話はほかにもまだまだあります。今回のように自治体が強く期待してくれるのであれば、私たちも積極的に関わっていこうと考えています。

統合整体治療院を目指す

本部ビル・馬借校舎
本部ビル・馬借校舎

    ──貴校がこれまで積み重ねてきた実績が高く評価され、オファーを受けられたのかと思います。

 水嶋 私たちは現在、学生数1,000人、従業員数約300人を超える医療系専門学校をもち、整骨院・鍼灸院・整体院・デイサービス、そして子ども運動トレーニングセンターまで有しています。運営する整骨院は直営とフランチャイズ組合員などを合わせると約100院あります。医療とスポーツの両領域を網羅した専門家育成機関としては、北九州では唯一の存在です。

 また、大相撲を含むプロスポーツチームに数多くのトレーナーも派遣しています。たとえばフィギュアスケートの本田真凜、宇野昌磨、田中刑事といった名だたるアスリートのパフォーマンスを支えているスタッフもいて、こうした実績が高く評価されたことは間違いありません。

 また、昨年4月には北九州市で「九州CTB理容美容専門学校」を開校しました。全国でもただ1つの存在だった公立の高等理容美容学校を引き継ぎスタートしたのですが、学園長に福岡のテレビ番組で知られるタレントの藤本一精さんを迎え入れるなど話題にも事欠かないユニークな学校です。理容美容学校はこれまでの国際学園グループの姿と少し異なるように感じられるかもしれません。しかし、私たちのなかではとても自然な流れです。私たちには、統合整体としてキュア、ケア、ビューティ、メンタルヘルスを備えた治療院をつくりたいという思いがあります。「九州CTB理容美容専門学校」はそのうちのビューティを担っており、美を提供する人材を育成しようというものです。

 ──その延長にあるのが「ZERO-100プロジェクト」でしょうか?

 水嶋 私たちのさまざまな活動の真ん中に位置づけているのが、「ZERO-100(ゼロヒャク)プロジェクト」です。0歳から100歳まで動けるカラダづくりをサポートする人材を育成し、WHOが提唱する身体的、精神的、社会的に健康、これを日本中で実現しようという一大目標です。一般的なスポーツトレーナーは、競技スポーツに関わりますが、国際学園グループはそこにとどまらせません。健康維持・増進を目的としたトレーナーを「生涯スポーツトレーナー」と位置づけ、子どもから高齢者まで健康な身体づくりをサポートできる生涯スポーツトレーナーの育成を目指しています。積極的に地域と関わり、社会に貢献していけるような人材を育てることを使命としています。

 少子高齢の時代の今、人々の健康への意識が高まっていることはいうまでもありません。医療や社会福祉における保障や対策をつくることは社会的な課題です。また、ライフスタイルの多様化などにより治療医学と予防医学の連携、すなわち統合医療の必要性が明確になってきました。多くの人々が「ずっと健やかに楽しく過ごせる生涯」を望み、生涯にわたって心身の健康をサポートできる人材を強く求めています。こうしたニーズに応えていくべく、学園では幼児から高齢者の健康維持まで含めた「健康村」構想の具体化も進めていて、大学化も含めた長期計画も視野に入れています。

(つづく)

【文・構成:天野 祐次】


<INFORMATION>
九州医療スポーツ専門学校

理事長:水嶋 章陽
所在地:北九州市小倉北区馬借1-1-2
設 立:2008年4月(国際学園)
URL:https://www.kmsv.jp


<プロフィール>
水嶋 章陽(
みずしま・あきひこ)
1961年北九州市生まれ。82年、行岡保健衛生学園卒業(柔道整復師免許取得)、87年、湯川整骨院開業、98年、ナショナル整体医学院開校、2001年、(有)メディカルネットサービス設立、02年、統合整体北九州(協)設立、04年、柔道整復師教員免許取得、06年、メディカル社を株式会社化、08年、(学)国際学園九州医療スポーツ専門学校開校、13年、(公財)日本健康スポーツ連盟副理事長就任、16年、同連盟理事長就任。

(後)

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