地場建設業界団体「期待感も影響は軽微」
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(一社)熊本県建設業協会
TSMCの恩恵は来年?
「TSMCの進出によって熊本都市圏がバブルに沸いているようなことをいわれますが、たとえば付随して公共工事が増えたり、我々が手がける建築工事が増えたりしているかというと、そんなことはありませんし、当会の会員企業がTSMC工場の建設の下請などに入っているという話も聞きません。もちろん今後に対する期待感は高いのですが、地場の建設業界への恩恵があるのは、早くて来年の春以降ではないでしょうか」──と(一社)熊本県建設業協会の専務理事を務める前川浩志氏((株)八方建設・代表取締役会長)は話す。
同協会は熊本県内の建設業者700社以上で構成され、本部のほか、県内12支部および2部会の体制で、経営の改善および技術の向上や、安全対策の推進、人材の確保・育成事業などを通じて建設業の健全な発展を目指すことを目的とする建設業の業界団体である。また、先の熊本地震のような災害時には“地域の守り手”として応急復旧活動を行うなど、さまざまな社会貢献活動も推進している。
TSMC関連で地場の建設業界もさぞ潤っているのかと思いきや、返ってきたのが冒頭の言葉だ。前川専務理事は続ける。
「ただ、そうした恩恵が実感できない一方で、たとえばTSMCの影響によって県内で極端に建設資材が不足したり、職人が足りなくなったりなどのマイナスの影響が出ているかというと、そういったこともほとんど聞きません。TSMC進出による県内の建設業界への影響は、良くも悪くも出ていないというのが現状ですね」。
若手の入職者増に向けて
ただし、職人引き抜き等の直接的な影響は軽微な一方で、将来的な人材不足につながる懸念はあるという。というのも、学卒後にTSMC関連の工場等で働きたいと、建設業界への入職を希望する若者が減ってしまうのではないか、という危機感だ。
「当会でも以前より、小中学校での広報イベントの実施や中高生に向けた小冊子の配布、学校施設整備のボランティアなどで、建設業界のイメージアップを図る取り組みを行っています。また、施工管理技士2級を受験する高校生への受験料の補助を行うなどのさまざまな手を打ちながら、建設業界の将来を担う若者が1人でも多く入ってくれることを期待しています」(前川専務理事)。
熊本都市圏においては今後、TSMC以外にも高規格道路や空港アクセス鉄道などの交通インフラ整備が順次進んでいく。熊本県全体の持続的な発展を下支えする社会資本整備を円滑に進めていくためにも、同協会のさらなる活躍を期待したい。
【坂田 憲治】
<INFORMATION>
会 長:土井 建
所在地:熊本市中央区九品寺4-6-4
TEL:096-366-5111
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