2024年05月11日( 土 )

23年地価調査のポイント、博多・天神・西鉄沿線・郊外(2)

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博多駅北部・旧博多部

 今回も、福岡市内で前年比10%超の上昇となった地点を中心に見てみよう。やはり目立つのは「天神・博多の拡張」だろう。まず博多だが、JR博多駅の北西部での上昇が顕著となっている。3年連続15%超の伸びを見せたのは、「綱場町9-28」で、同地点は中高層のオフィスビルが建ち並ぶ商業地域にあり、福岡市地下鉄・呉服町駅、同・中洲川端駅のいずれにも近い。博多駅周辺の地価高騰が続くなかで、最もその影響を受けたエリアの代表格として、毎回ランキング上位に食い込む地点となっている。

 この綱場町を含む「旧博多部」からは、「冷泉町5-32」「神屋町10-19」「中呉服町4-26」の計4地点が基準地として選定されており、いずれも3年連続2ケタ増を記録。平米単価が300万円を超えた冷泉町5-32は、大博通りに接する比較的大型のオフィスビルで、地下鉄・祇園駅から近いこともあり、周辺にはオフィスビルや賃貸マンション、テナントビルなど幅広い用途の建築物が並ぶ。

 大博通りを挟んだ「中呉服町4-26」は、6階建のオフィスビルで周辺には中低層のオフィスや住宅、店舗などが集まっている。コロナ禍前には小型ホテルが乱立したエリアでもあり、再びインバウンドバブルの様相を呈してきたなかで、さらなる地価上昇があるのか、注目しておきたいエリアだ。

 「神屋町10-19」は、旧博多部の北端部の那の津通りに接する5階建の賃貸マンション。駅からの距離はあるものの、福岡国際センターや福岡国際会議場に近く、天神エリアに近接していることから、周辺には賃貸マンションや低層のオフィスなどが建ち並んでいる。旧博多部はこれまで再開発があまり進んでこなかったエリアだったが、博多の拡張を受けて博多 FD ビジネスセンター(綱場町)、福岡Kスクエア(中洲中島町)といった大型のオフィスビル開発が行われたほか、(株)モダンプロジェが開発する「MODERN PALAZZO」、(株)グッドライフカンパニーが開発する「LIBTH」といった賃貸マンションも増加。さらに、ファミリー向けの分譲マンション開発も進むなど、まちの性格が大きく変わってきたエリアでもある。

 博多駅と天神の中間にある旧博多部は、このように多様な用途の開発が多く見られ、それが地価上昇を牽引してきた。コロナ禍の終了とともに宿泊需要がV字回復していることで、ホテルへの投資熱が高まっており、さらに上昇しても不思議ではないくらいにはポテンシャルがあるエリアだといえる。

(つづく)

【永上 隼人】

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