2024年05月07日( 火 )

23年地価調査のポイント、博多・天神・西鉄沿線・郊外(3)

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博多駅南部・東側

 JR博多駅の博多口方面の旧博多部とは反対側、筑紫口側でも地価の上昇は顕著となっている。とくに「博多駅東3-3-16」は博多駅から徒歩10分圏内ということもあり、今回の地価調査では18.2%の大幅な伸びを見せた。地上7階建で低層が歯科医院などのテナント、上層階が住居となっている同地点は、ランキング上位の常連で、近隣に中比恵公園があり、周辺には合同庁舎やオフィスビル、飲食店舗が並ぶ。今回の調査で同地点の地価は平米単価143万円だったが、博多駅に近い博多駅東アドレス、博多駅南1丁目アドレスは実際にそれよりも高い価格で取引されているようだ。

 博多駅筑紫口の周辺では、これまで都ホテル博多(19年6月竣工)、ホテルフォルツァ博多駅筑紫口Ⅱ(20年1月開業)、アパホテル&リゾート〈博多駅東〉(21年3月開業)、アパホテル〈博多駅筑紫口〉(21年4月開業)など、コロナ禍前にプロジェクトがスタートしたホテル開発が目立っていたが、コロナ禍を経てオフィス用地としての売買が増加してきた。「坪1,000万円」も珍しくなかった当時より値は下がったが、このところは再び盛り上がりを見せ始めている。

 地下鉄・東比恵駅側に目を向ければ、「東光2-16-26」も3年連続2ケタ増の伸びを見せるなど、天神方面とは逆方向でも博多の拡張を見ることができた。

博多駅南部・西側

 博多の拡張は、博多駅の南側・美野島エリアでも見て取れる。博多駅前4丁目に接する美野島1丁目では、結婚式場跡でJR九州が262戸の大型分譲マンション・MJR博多 ザ・レジデンス(262戸)の開発を進めている。高価格化する福岡市内の分譲マンション市場において、同マンションはJR博多駅まで徒歩12分にありながら、比較的価格が抑えられた物件として販売も好調に推移しており、入居開始まで1年半を残してすでに多くの住戸が契約済みとなっている。同マンションから数mのところでは、モダンプロジェがテナント複合タイプの賃貸マンション2棟(計102戸)を建設中。完成は、MJR博多 ザ・レジデンスと同時期になりそうだ。

 地価調査では、「美野島1-17-8」が前年比15.8%の上昇を見せた。同地点は、MJR博多 ザ・レジデンスらより博多駅から離れており、前面道路も狭いものの、平米単価は44.6万円となり、21年比で10万円以上高くなった。同じく美野島からは、「美野島3-22-40」が3年連続2ケタ増となった。同地点は百年橋通りに接する賃貸マンションで、周辺は賃貸マンションが建ち並ぶエリア。駅からは距離があるものの、天神・博多とも近く、那珂川を挟んだ那の川では、分譲マンションの開発も行われている。

 そして依然として高い影響力を見せつけるのが、「ららぽーと効果」だ。「那珂1-8-25」「那珂6-16-16」「竹下4-15-8」など、ららぽーと福岡に近い地点は前回を上回る上昇率となった。この1年間、「博多区那珂」だけでも分譲マンションを中心に10棟以上の建築計画が公表されている。市内にある駅周辺の地価高騰が追い風となり、ららぽーと効果はまだしばらく続きそうだ。

(つづく)

【永上 隼人】

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