福岡県11選挙区のうち、九州最大の繁華街・オフィス街の天神エリアを含む2区は激戦になるとみられる。前回選で小選挙区で敗北した自民・鬼木誠氏と、今回「中道改革連合」で臨む稲富修二氏の対決に、新興保守政党・参政党の木下敏之氏が挑む構図となる。
高市人気を背景にした自民
1月27日午前9時半から警固公園で行われた自民前職・鬼木誠氏の出陣式には、多くの業界団体を中心とした支援者や県議、市議が詰めかけた。
司会は、宮川宗一郎福岡県議会議員(城南区選出)が務め、「写真や動画を撮影しSNSで発信してください」と繰り返し呼びかけを行った。SNSでの発信は最も効果的なアピールとなるからだ。
鬼木氏は、高市首相の発言を援用し、「働いて働いて、働いて働いて働いてまいります」と訴えつつ、「緊縮財政派」「外国人移民受け入れ推進」という野党からの批判は事実と違うと語った。とくに意識しているのは保守系の参政党である。同党から元福岡大学教授の木下敏之氏が立候補したが、鬼木氏と保守票を食い合うかたちになり、自民関係者にとって脅威である。
懸念材料という点で、立憲民主党と公明党による「中道改革連合」がある。それまで公明票をあてにしてきた自民党関係者の衝撃は大きかった。鬼木氏もその1人だ。
26年におよぶ自公連立が昨秋の自民党総裁選後に解消されたが、公明が従来通り自民との関係を維持するのか、野党となるのか、その動向が注目されていた。
鬼木氏はこれまでの選挙で「比例は公明に」を連呼し、鬼木氏の集会に公明党関係者が出席し、挨拶を行ってきた。だが、今回の出陣式では、旧公明関係者の出席はなかった。
教団との断絶、自公連立の解消によって宗教票は減少したが、マイナスとばかりはいえない。自民党市議団に所属する福岡市議は「宗教団体は選挙運動に熱心だが、アレルギーを示す人も多い。保守層は自民支持に回帰する」との見方を示した。
高市人気も追い風となっている。昨夏の参院選では新興勢力の参政党や国民民主党が躍進したが、依然として地方における自民の支持基盤は厚く、陣営関係者には20代・30代の支持が戻ることへの期待感がある。
1月30日午後6時から警固公園で行われた福岡1区から3区の合同演説会に高市早苗自民党総裁(首相)が来援した。警固公園は人であふれ、高校生や若い女性が多く参加していた。高市氏は「責任ある積極財政」を前面に押し出しつつ、企業への投資や外国人受け入れの適正化を進めることを訴えた。
高市氏が述べた「22世紀になっても安全で豊かな日本であるように、日本がインド・太平洋の輝く灯台として仰ぎ見られる自由と民主主義の国であるよう私たちは働きます」という言葉は、アメリカ重視の外交を行い、安倍晋三元首相の路線を継承していくことを意味する。一方で「私は伝統を重んじる。これからも土俵にはあがりません」と述べ、ジェンダーに関して保守的な価値観を重視する姿勢を明らかにした。
外国人政策見直しを掲げる参政
岩盤保守層の支持を参政党や国民民主党から奪い返すためには、保守的路線を強調する必要があるが、現実政治では自由主義やグローバリズムを取らざるを得ない。在留外国人の受け入れも必要である。高市氏はもちろん、鬼木氏にとってもジレンマである。
反グローバリズムを掲げて自民の政策に不満を持つ層に訴求しているのが参政党である。2区では元佐賀市長で福岡大学教授を務めた木下敏之氏が立候補している。
2月1日午後7時から、警固公園の隣にある警固神社において、参議院議員・梅村みずほ氏を迎えての演説会が行われた。司会は元衆議院議員の新開裕司福岡市議が務め、県連会長・吉田優貴雄氏が挨拶に立った。
吉田氏は「今回の選挙は、失われた30年を40年続けるのか、はたまた下げ止まって子どもたちに胸を張ってバトンタッチできる日本をつくっていくのかがターニングポイントの選挙だと思っている」と同党が考える争点を語った。
梅村氏は「私も普通のお母さんでした」と語りつつ、「政治は気持ちだけではだめで、提案していく必要がある」「私たちも素人集団からプロフェッショナル集団になるために木下さんを押し上げる必要がある」と木下氏への支援を呼び掛けた。
木下氏は「日本人は一生懸命働いてうそをつかない。これは日本が誇るコンテンツである」と述べたうえで、「このままでいくとそれは崩れてしまう。これは守っていかないといけない」と訴え、「私が入る政党はここ(参政党)しかなかった」「このままでは自民党が勝ってしまうが、何とか参政党が頑張って外国人の増加を止めたい」と語った。
会場には、300人近い支援者や聴衆が参加していたが、鬼木氏や稲富氏の支援者も来場しており、関心の高さがうかがわれた。
福岡2区は九州有数の都市型選挙区であるが、前回選(24年10月)までとは異なる構図のなか、支持基盤の切り崩しが展開されるなど大激戦となっている。
この他、福岡2区は、共産党の貫洞基裕氏が立候補しており、党組織の支援を受け独自の戦いを展開している。
【近藤将勝】








