2024年05月18日( 土 )

23年地価調査のポイント、博多・天神・西鉄沿線・郊外(1)

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全国屈指の上昇率

 9月、「令和5年度地価調査」の結果が発表された。前回の地価調査で、3年ぶりの上昇となった全用途平均、31年ぶりの上昇となった住宅地、3年ぶりの上昇となった商業地、これらがいずれも2年連続で上昇を継続しただけでなく、上昇率も拡大した。

    全国の上昇率ランキングでは、住宅地、商業地ともにラピダス効果で北海道が多数を占める結果となったが、いずれもm2単価は10万円未満がほとんど。住宅地ではTSMC効果により大津町(熊本県)が1位となった。

 商業地で最も上昇率が高い都道府県は福岡県(5.3%)、住宅地は沖縄県(4.9%)。福岡県は住宅地(3.3%)、工業地ともに2位となった。東京都区部および人口50万人以上の都市の住宅地の平均変動率では、福岡市(8.2%)は札幌市(12.5%)に次ぐ2位、商業地も福岡市(11.2%)は札幌市(11.9%)に次ぐ2位だった。

 福岡県内の市町村別では、38市町の住宅地が上昇となり、大川市は31年ぶり、芦屋町は27年ぶりに下落から上昇に転じたほか、大牟田市や柳川市は24年連続下落から横ばいに転じた。商業地では33市町が上昇となり、遠賀町が横ばいから上昇に転じたほか、大牟田市と田川市は28年連続下落から横ばいに転じた。全域で上昇傾向が続く工業地は、30市町が上昇となり、みやま市やみやこ町は合併後初めて上昇に転じた。

上昇目立った福岡市外

 福岡市周辺では、引き続きマンション用地需要の高止まりから上昇率が拡大を続けている。商業地はいうにおよばず、住宅地もこれまで上昇率トップ10は多くが福岡市内だったが、今回は市外6地点がトップ10に入った。4位となった「古賀市中央3-7-17」、5位となった「福津市宮司浜2-19-16」などが躍進したが、堅調な伸びを見せているのが新宮町だ。

 福岡市東区と接するJR福工大前駅では、「美咲2-10-8」が7.4%の上昇となり、平米単価は10万円を超えた。駅前立地の同地点の周辺は、大学をはじめ学校も多いことから単身者向け住宅の需要も高いエリアだが、飲食店やスーパーマーケットが建ち並び、このところは分譲マンション開発も散見されるようになった。福工大前駅から徒歩7分の立地では、地場のマンションデベロッパー・作州商事(株)が分譲マンション・エイルマンション新宮(73戸)の開発を進めている。周辺は、ホームセンターや複数のスーパーマーケットがあり、幹線道路へのアクセスも良いことから、福岡市側で東宝住宅(株)が開発中のフリーディアシティ和白丘(141戸)は完成を待たず完売した。

    商業地1位は「久山町久原3214-1」となった。同地点は、県道35号(筑紫野古賀線)のロードサイドで、パチンコ店や飲食店、ガソリンスタンド、物流施設が集積しており、トリアス久山にも近いほか、九州自動車道・福岡ICからも車で数分の距離にある。

 県内全用途910地点(林地除く)のうち、多くは住宅地(627地点)と商業地(231地点)だが、目立ったのがわずか50地点の工業地だ。50地点の平均変動率は9.6%と前回を3.3ポイント上回り、7年連続で上昇を続けている。都市部に近く、交通アクセスも良いことから、物流・製造関連の倉庫需要は高まっており、「志免町別府北3-3-10」は30.3%もの大幅な伸びを見せたほか、他地点でも大幅な上昇を記録している。

(つづく)

【永上 隼人】

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