2024年05月17日( 金 )

カシワバラ、ドローンで改修工事ワンストップに

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

(株)カシワバラ・コーポレーション

(株)カシワバラ・コーポレーション 新規開発営業部部長・山下洋平氏
(株)カシワバラ・コーポレーション
新規開発営業部部長・山下洋平氏

 プラント塗装等のインフラメンテナンス、マンション大規模修繕や建築、内装リフォーム事業を展開する(株)カシワバラ・コーポレーション(東京都港区)は、建設テックスタートアップに投資するプロジェクト「JAPAN CON-TECH FUND」に基づき、ドローン会社各社と資本提携を実施した。マンションの大規模修繕に強みを持つ同社にとって、ドローン活用は建物調査診断時に足場設置が不要となることで、事故防止やコスト低減に大きな効果をもつ。今回、同社の新規開発営業部部長・山下洋平氏に、ドローン戦略について話を聞いた。

ドローン操縦士80名に

 ──建設や不動産テックとの連携を進めている意図からうかがいたいと思います。

 山下 建設会社は今後、建設テックなどのテック企業との連携が増えると思います。当社でも、建設分野での技術革新を目的として、建設スタートアップに投資する「JAPAN CON-TECH FUND」を2019年3月からスタートしています。テクノロジーを活用し、建設業全体をより良くする趣旨で、当社とシナジーのあるスタートアップと提携しています。優れた技術開発が実現できれば、当社グループの現場に導入できる効果もあります。ドローン事業についても、「JAPAN CON-TECH FUND」がきっかけとなっています。

ドローン機体
ドローン機体

    ──ドローン操縦士の教育体制にも、力を入れているようですね。

 山下 当社内でドローンの操縦教育を実施しています。施工現場でのドローン操縦が可能な社員は現在、26営業所に約80名が在籍しています。「JAPAN CON-TECH FUND」からは、建設業向けにドローンを活用したソフトウェアを展開する(株)CLUEに出資しました。当社のドローン操縦士は、CLUEが保有しているDroneRoofer(ドローンルーファー)の操縦技術をもっております。教育は、CLUE社員が当社の営業所を訪問して行います。

微細なクラックも検知

    ──マンションなどの外壁調査は、具体的にどのようなアプローチで行うのでしょうか。

 山下 今は、ドローンが非接触で撮った映像を解析して、成果物として提出するのがメインです。マンション外壁のクラックの検知は、数年前から取り組んできましたが、カメラの精度が向上したことで、クラックについては微細なものでも検知可能となりました。一方、タイルの浮きについては、カメラだけで検知するのはまだまだ難しい状況です。そのため、赤外線診断士や一級建築士が過去の工事データを加えることで、傾向分析して精度を上げています。23年9月にアメリカでUAV展示会が開催され、私も参加しましたが、アメリカではドローンが担う作業のフェーズが変わりつつあります。近い将来には、ドローンを施工的なアプローチとして活用できる可能性も小さくないはずです。

「現場ファースト」

 ──屋内空間専用の小型ドローンを開発する(株)Liberawareと資本提携された狙いについては。

 山下 Liberawareの小型ドローン「IBIS(アイビス)」は、人間が入れないような狭いエリアの点検に特化したドローンです。当社にはリノベーションデザイン本部という内装工事に特化した部署もあり、たとえば天井ボードの裏側など人が入れないエリアは内装工事でも多くあるのです。そこでドローンを活用すれば、天井ボードの裏側も調査診断できるとの期待があり、当社のドローン事業との親和性が高いことから出資しました。屋内外のドローンの活用事例は、これから広げていきたいですね。

 また、屋内屋外に限らず、ドローン活用は事故の削減にもつながると期待しています。私はプラントや発電所などの改修の現場で責任者を担当していました。現場の目線―「現場ファースト」でドローン活用を模索することで、人身災害も減らせるはずで、その点におけるドローンの優位性は高い。しかし、何から何まですべてドローンである必要はなく、コストや最終的な成果物などのバランスを見て、従来のやり方よりドローンに優位性がある点では活用する目線で展開しています。

【長井 雄一朗】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:柏原 伸介
所在地:
 〈東京本社〉東京都港区港南1-2-70
       品川シーズンテラス18F
 〈岩国本社〉山口県岩国市
       山手町1丁目5番16号
設 立:1953年3月
資本金:2億5,010万円
TEL:03-5479-1400
URL:https://www.kashiwabara.co.jp/

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事