2024年05月19日( 日 )

新体制順調で今期は50億突破へ 福岡を代表する設備工事業者

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(株)曙設備工業所 左:代表取締役 蒲生 和紀 氏 /右:会長 野田 弘之 氏
(株)曙設備工業所
左:代表取締役 蒲生 和紀 氏 /右:会長 野田 弘之 氏

(株)曙設備工業所

好調時にも気を緩めず、
競争を勝ち抜ける組織へ

 福岡市およびその近郊において、給排水衛生設備や空調換気設備、消防設備などの設計から施工までを一貫して手がける専門工事業者である(株)曙設備工業所。同社は1982年2月の創業以来、地域に密着して事業を展開しながら、そこに生きる人々の安全・快適な暮らしを「建物の見えない部分」から支え続けてきた、縁の下の力持ち的な存在だといえる。その技術力・施工力の高さには定評があり、公共施設や教育・商業施設、さらには医療関連施設などの幅広い建物での豊富な工事実績を有しているが、近年はとくに新築分譲マンションにおける設計・施工での活躍が目立っており、今では「マンション設備といえば曙設備工業所」というほど、業界内で名前が知れわたっている。

 その同社では2022年10月、これまで30年の長きにわたって経営トップとして同社を牽引してきた“中興の祖”である野田弘之氏が会長に就任するとともに、後任の代表取締役社長には取締役営業部長だった蒲生和紀氏が就任。持続可能な企業存続のための次世代に向けた取り組みの一環として、経営陣の若返りを図った。

 現会長・野田氏は、自身の後継者に蒲生氏を選んだ理由について、「当社の新卒採用一期生ということで、長い間そばで見てきて信頼感があったというのもありますし、勤勉で頭の回転も良い。ただそれだけではなく、当社のお取引先さまから大きな信頼を寄せられていたからということが何よりの決め手です」──と、蒲生氏の能力およびトップとしての器に太鼓判を押す。

 そして野田会長から経営のバトンを引き継いだ蒲生社長は、代表に就任してからの自身の1期目を振り返って次のように話す。

 「やはり思っていた以上に、代表としての重責をひしひしと感じながらのこの1年あまりでしたが、ある程度は目標通りに、それなりに良い結果を出せたのではないかと思います。ただしこれは、代表交代の際に、当面のお膳立てをしていただいていたおかげでもありますので、今期、来期、そして再来期に向けて、今度は自身の力で段取りを進めていかねばと思っています。現在、ありがたいことに仕事は潤沢にありますが、何事もこういう余裕がある時期には緩んでしまいがちです。そうならぬよう気を引き締めながら、この先、今以上に競争が激化した際にも打ち勝っていけるよう、社員1人ひとりが考えていけるような強い組織を目指していきます」。

独自の事業スキームで
強固な基盤を形成

 同社では、ゼネコン各社や設計事務所に対して、設備設計とセットで施工の企画提案を実施するという独自の事業スキームを構築。これは、設備の設計業務を同社が全面的に引き受けることによって、ゼネコンや設計事務所にとっては業務の省力化および効率化に寄与し、品質の維持向上に注力できるようになるというもの。また、これまでの豊富な実績から同社の設計業務には高い信頼が寄せられており、設計事務所から取引先のマンション・デベロッパーを紹介され、さらにはマンションを施工するゼネコンなどからの受注も獲得できるなど、良好な循環が生まれている。こうした独自の事業スキームによる営業スタイルが、他社との差別化につながるとともに、同社が安定した経営を持続していくための強固な基盤となっている。

 もちろんこの独自の事業スキームも、同社1社のみでは成り立たせることができず、これまで好不況をともに乗り越えてきた“仲間”の存在が必要不可欠だ。

 野田会長は、「どんな時代・状況でも、ゼネコン・設計会社・デベロッパー・専門工事会社と職人の皆さんや取引業者さま、そして我が社の社員は皆仲間だと考えています。当社ではいついかなるときでも、仲間を大切にすることを最優先にしており、この思いが当社の事業の根底にあります。我々の役割は、安定した受注を続けることであり、それによって仲間が適正に稼げる仕事を行える機会を創出することです」と同社の“仲間”に対する想いを語るが、その想いは蒲生社長にも受け継がれている。

曙設備工業所本社社屋
曙設備工業所本社社屋

    同社の営業活動の基盤となる福岡市においては現在、天神ビッグバンや博多コネクティッドなどの都心部再開発プロジェクトが進行しているほか、九大・箱崎キャンパス跡地再開発も控えるなど、旺盛な都市開発が進行。併せて、福岡市をはじめとした都市圏の人口は全国的にも稀有な増加傾向にあるほか、それにともない不動産需要も増しており、同社の活躍の舞台となるマンション開発も市内各地で進んでいる。

 「当社も都市計画を支えるライフラインに関わる専門工事会社として、快適な生活環境や良好な水環境、さらには災害に強い地域づくりに貢献し、地域へ定着していきたいと考えています」(蒲生社長)。

 新体制へのスムーズな移行や従前からの入念な仕込み、一現場あたりの単価向上などが奏功し、23年12月期の完工高は48億9,700万円超と、50億円目前の水準まで迫った同社だが、その勢いをさらに加速させるかたちで、今期はいよいよ完工高50億円を突破する見込みだ。都市・福岡のライフラインを陰から支えるかたちでまちづくりに貢献している専門工事業者である同社の、今後のさらなる活躍が期待される。

【坂田 憲治】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:蒲生 和紀
所在地:福岡市早良区田村4-15-10
設 立:1982年2月
資本金:6,000万円
URL:https://kk-akebonosetsubi.com


<プロフィール>
野田 弘之
(のだ・ひろゆき)
1952年8月生まれ。学卒後、71年6月に神林工業(株)へ入社。83年に(株)曙設備工業所へ入社し、87年9月に取締役に就任。92年5月、代表取締役社長に就任。2022年10月に会長に就任した。

蒲生 和紀(がもう・かずのり)
1975年7月生まれ。長崎大学水産専攻科卒業後、99年4月に(株)曙設備工業所に入社。現場管理などの経験を積み、取締役営業部長に就任。2022年10月に代表取締役に就任した。

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