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経済小説

天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (127)
経済小説
2011年4月25日 10:33

<債権者集会と再生計画の認可>

 平成21年9月15日午前11時、福岡地方裁判所にて債権者集会が開催された。債権者にはすでに裁判所から再生計画案と債権者集会の召集通知が送られていて、会社からは役員4名が身ひとつで参加するだけでよかった。
 会場は裁判所内の大きな会議室であった。中央には裁判官席が設けられていた。向かって左側には、当社および当社代理人の席が、左側には監督委員の席が設けられていた。
出席した債権者は約20人であった。

裁判官は集会の始まりを告げた... 時間になり、裁判所の書記官より携帯電話の電源オフなどが指示されたのち、裁判官が入室してきた。裁判官は、民事再生の申立時に審尋を受けたのと同じ、若い女性の裁判官であった。裁判官が入室すると同時に全員が起立し、裁判官が礼をすると全員が答礼した。
 裁判官は集会の始まりを告げた。
「ただいまより、再生債務者株式会社DKホールディングスの民事再生事件についての再生計画案の審理および決議のための債権者集会を開催します。まず最初に、再生債務者の岩倉社長よりご挨拶があるそうですのでお願いします」
 岩倉社長ほか役員全員が起立して一礼した。
「DKホールディングスの岩倉でございます。本日は、黒田が病気のため私が代わって挨拶させていただきます。まず、弊社の民事再生では債権者の皆様に大変なご迷惑をお掛けいたしましたことを、改めてお詫び申し上げます。そして5月には、皆様のご理解があって株式会社セントラルレジデンスへの管理事業の譲渡ができました。これで多くの社員の雇用を確保することができました。本当にありがとうございます。現在、弊社では不動産や投資有価証券などの処分を進めており、11月末日には弁済ができる見通しでございますので、何卒、再生計画案にご賛成を賜りますようお願い申し上げます」

 岩倉社長の挨拶が終わると、ひと呼吸おいて裁判官は言った。
「それでは再生計画案の審理に入ります。届出債権者の皆様には、既に再生計画案と監督委員の意見書の要旨がお手元に届いていることと思いますので、再生計画案などについての詳しい説明は省略させていただきます。それでは、再生債務者、監督委員に追加・修正の報告および意見を中心に説明をお願いします」
 これに対し、担当の森永先生が説明に立った。
「先般来ご説明いたしておりますように、再生計画案の骨子は、再生債権額の5%を11月末日までに弁済させていただくということでございます。その後、更に残った資金があれば追加弁済を行ないますが、まだ4件の不動産の換金ができていないため、その状況によっては追加弁済は時間がかかることが予想されます。また弁済率については再生計画案を提出後、プラス要因、マイナス要因があり、まだ弁済率の見通しははっきりしておりません。また再生計画案の修正ですが、これは1件だけありまして、××銀行が全ての別除権の請戻しが確定したため、未確定だったのが確定債権者に変更になっております」

 裁判官は監督委員へ顔を向けた。
「続いて監督委員からご意見をお願いします」
「資料にも書きましたとおり、再生計画案を債権者集会に決議に委ねるべきであります」
 監督委員は答える。
「それでは再生計画案についてご意見やご質問はありませんか?」
 裁判官は会議室を見渡した。特に意見も質問も出なかった。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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