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メタンハイドレートの理想と現実(3)
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2013年7月 3日 07:00

<海洋産出試験成功後、技術課題を抽出中>
 低温高圧の環境に存在するメタンハイドレートは、海底面下の数100メートル付近に存在する。液体の石油や天然ガスは井戸を掘れば噴出するが、メタンハイドレートは固体であるため、地層の中で分解し、メタンガスとして取り出すのが、その生産手法。

 開発計画のフェーズ1、カナダの凍土層で実施したフィールドテストにより、圧力を下げながらガス化する「減圧法」が有効であるということが分かった。第1回海洋産出試験では、減圧法で試験を行ない、海洋のメタンハイドレートからガスを取り出すことに成功した。

 取り出す方法を簡単に説明すると、船から管を下ろし、井戸を掘って、ポンプで水をくみ上げながら、井戸内の圧力を下げる。地層内の圧力が低下し、メタンハイドレートを分解。ガスと水が生産井戸内に流入し、ガスとして生産することができる。

 海洋産出試験では、世界で初めて海洋にあるメタンハイドレートからのガスの生産に成功したが、これは調査段階でのガス生産実験であり、商業生産に直結するものではない。ただ、実用化に向けての第一歩となったのは間違いない。ここからのデータ収集、課題のあぶり出しが進められている。

 第1回試験で得た知見をもとに、第2回海洋産出試験の計画を練るとともに、環境への影響、経済性の検討を行なったうえで、商業生産に向けた技術基盤の確立を目指す。

<なぜ日本が世界初!?>
0701_JOGMEC_1.jpg 日本は、海洋でのメタンハイドレート資源開発におけるパイオニアである。ただ、なぜ石油開発で優れた技術を持つアメリカがやらないのか。海洋から資源エネルギーを取り出すには、多大な手間と資金がかかる。エネルギーを取り出すために、エネルギーを消費する。

 これまでの蓄積、実績のある石油や天然ガスに比べると、メタンハイドレートの開発については、どのように生産すればいいのか、未知の部分が多い。アメリカは、陸上にも海洋にも、石油・天然ガスのほか、非在来型のシェールガスなどの資源を持っており、メタンハイドレートのような未知数の資源開発を急ぐ必要はない。

 2012年のエネルギー白書によると、日本のエネルギー自給率は、水力・太陽光などにより、わずか4.8%(原料のウランを輸入している原子力は準国産エネルギーに位置づけられている。原子力を含めると19%)。カナダ、イギリス、アメリカなど主要先進国に比べると、極めて低い数字だ。

 エネルギー自立を図るには、日本としては、実用化へのハードルが高くとも、資源を探し、模索し、モノにしなければならない。それには、資金も時間もかかる。

(つづく)
【岩下 昌弘】

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