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九州圧送事業協同組合連合会
理事長 吉良 五男 氏近年、高層化が進み、耐震性・耐久性が求められるコンクリート構造物において、生コンクリートの圧送施工を手がけているのがコンクリート圧送工事業である。九州内の会員78社をまとめる九州圧送事業協同組合連合会の理事長・吉良五男氏に、圧送工事業界を取り巻く現状や課題、それに対する対策などについて話を聞いた。
コンクリート構造物で重要な役割
──コンクリート圧送工事の役割とは、何でしょうか。
吉良 コンクリート圧送工事とは、生コン車によって建設現場に搬入された生コンクリートをピストン式、あるいはスクイーズ式のコンクリートポンプ車(以下ポンプ車)を用いて、現場内の型枠内に生コンクリートを圧送、打設する専門工事業です。ポンプ車が日本に入ってきたのは1964年で、東京オリンピック開催の時期と重なります。従来のタワーカート工法(バケットで揚重した生コンを一輪車などで運搬する工法)と比べ、大量打設が可能で作業性も改善され、省力化できる工法として、高度経済成長期に普及しました。私が事業を営んでいる大分県では、66年に初めてポンプ車が導入されました。
打ち込む生コンクリートは、設計値通りの強度が求められます。そのため、“生もの”である生コンクリートの品質を変えることなく打設することが最も重要で、コンクリート圧送士にはポンプ車に関する技能・技術だけでなく、生コンクリートに関する知識も必要となります。近年は構造物が高層化し、より高い耐震性と耐久性が求められます。コンクリートの高強度・高性能化も進んでおり、コンクリート圧送工事業の役割は、一層重要性を増しています。
──圧送工事では、具体的にはどのような作業が行われるのでしょうか。
吉良 先ほどもお話ししたように、圧送工事とはポンプ車を使って型枠に生コンクリートを圧送、打設する工事のことをいいます。ポンプ車には、ブーム付きポンプ車と配管車の2種類がありますが、現在はブーム付きポンプ車が主流となり、配管車は珍しくなってきました。ブーム付きポンプ車とは、生コンクリートを離れた場所に圧送するために輸送管のついた折り畳み式のブーム(クレーンなどのアームに該当する構成部品)を備えたポンプ車のことです。ブーム車の最大作業高さは11m~39mと、ポンプ車の車両車種に応じてさまざまです。このブームにより遠隔地、高所など配管を使った生コンクリートの輸送が困難な場所への圧送が可能となります。現在は折りたたみ可能な4段ブーム付きポンプ車が主流となっています。
作業は、主にオペレーターと筒先作業員(スポーター)の2名体制で行います。オペレーターはポンプ車を工事現場に配置し、アウトリガーを車体から張り出して車体を接地したうえで、ブームを操作して型枠近くまで誘導します。その後、スポーターがブーム先端のホースを扱い、型枠へ正確に生コンクリートを打ち込んでいきます。
配管車は、ブームを備えていないコンクリートポンプ車であり、直接配管を敷設し、生コンクリートを圧送するタイプのポンプ車です。設置スペースが小さく、ブームを備えていないため車高も低く、高さ制限がある現場への対応が可能です。
コンクリート打設工事は、やり直しができません。最も注意すべき点としては、コンクリートは一定時間が経つと硬化するため、作業スピードが求められるうえ、いったん打設を始めれば、コールドジョイント(コンクリートの打ち継ぎ)をつくらないようにするために、なかなか作業を中断することができません。ホースはコンクリートが流れこんでいるため非常に重く、その扱いには体力と経験が必要です。また、コンクリートの締固めを行う土工との協力が必要不可欠です。
【内山 義之】
<プロフィール>
吉良 五男(きら・いつお)
1948年2月、大分県由布市出身。高等学校卒業後、他業種企業へ入社。73年4月吉良商事を創業。98年10月に(有)九大技建として設立し、同社代表取締役に就任した。2011年4月、同社会長となる。16年5月より九州圧送事業協同組合連合会理事長を務めるほか、(一社)全国コンクリート圧送事業団体連合会の副会長や大分県コンクリートポンプ工業組合理事長などの数々の要職も務める。- 1
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