資生堂・福岡久留米工場が6月に稼働
-
機運再燃のJR新駅設置
県が事業主体となることとなった要因とは、両市で盛り上がったJR久大本線・田主丸駅~筑後吉井駅間の新駅設置運動も「無縁ではなかった」(久留米市関係者)という。
同団地の東側に隣接する県立浮羽究真館高校の同窓会は、以前から同校南側を走る久大本線の新駅設置を訴えていた。そこに、同団地の西側に隣接する吉本工業団地(久留米市が分譲)にダイハツ九州の久留米工場など13社が立地して完売。また、同校の東側に位置する富永工業団地(うきは市が分譲)でも、販売が順調に進んでいた。
両市は、既存団地と団地開発予定地への通勤者や高校通学者で新駅設置は可能として、公共交通の確保とも絡めて県に農地転用の許可を迫った。しかし、団地通勤者は予定地を含めてマイカー利用者が多いと予想され、JR九州は新駅設置の条件にした1,000人程度の乗客は望めないと判断。県が工業団地開発の事業主体になる方針を打ち出すと、新駅設置に対する地元の熱気は萎んでいった。
それが今、資生堂工場の本稼働によって300人以上が働く。将来は1,000人以上が働く工場に拡大すると見込まれ、新駅設置の機運が再燃し始めている。ただし両市とも、地元負担が発生する請願駅での設置には、消極的だ。
浮羽バイパスの整備も進む
全国の物流網に直結する大分自動車道、公共交通機関のJR久大本線とともに、中・近距離のトラック輸送などに適した国道210号浮羽バイパスが、このエリアに欠かせない交通インフラになりつつある。
久留米市田主丸町上原~うきは市浮羽町山北を結ぶ延長約14kmの同バイパスは、市町村合併前の旧・浮羽郡田主丸町、吉井町、浮羽町の市街地を通る国道210号の混雑を避けるため、国土交通省が1977年に浮羽町山北の終点から1.7kmの区間で用地交渉に着手。全長を5区間に分けて工事を進め、13年12月までに終点から田主丸町豊城までの約13kmが暫定2車線(完成は4車線)、一部完成2車線で開通した。その結果、国土交通省福岡国道事務所の調べでは、旧3町の市街地を通過する時間が、現道利用に比べ約7分短縮した。
総事業費276億円をベースにした進捗率は約90%。全線開通まで残りの約1kmの区間で、工事と用地取得が急ぎ進められている。同事務所によると、バイパス整備の間接効果として、沿線の旧3町では17年度までに75.9haの工業団地が分譲され、18年4月時点の分譲率は98%に上るという。
資生堂の進出もあって、久留米・うきは工業団地は分譲開始からわずか3年で完売。うきは市都市計画準備課で7年間企業誘致に携わる行村純徳氏は、「福岡県内の工業団地は臨海型が多いが、内陸型という特徴もあり地域間競争に勝てた」と、好調な売れ行きの一因を分析する。
一方、07年のダイハツ九州久留米工場に続いて、資生堂という大型企業誘致に成功した久留米市だが、前出の企業誘致推進課・倉富氏は「今も10ha程度の分譲地の引き合いは少なくない」という。だが一方で、「工業団地は適地選考から売り出しまで最低5年はかかる。この間、経済状況が変わるため、造成時期の判断は難しい」(倉富氏)と続けた。
【南里 秀之】
▼関連記事
8/31配信「農地転用は開発用地捻出の“切り札”となるか?」- 1
- 2
月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。
記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。
企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。
ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)法人名
関連キーワード
関連記事
2024年5月5日 06:002024年5月2日 15:452024年5月2日 11:302024年5月2日 18:002024年5月2日 17:502024年5月1日 15:002024年5月11日 06:00
最近の人気記事
まちかど風景
- 優良企業を集めた求人サイト
-
Premium Search 求人を探す
- 業界注目!特集
-
産廃処理最前線
サステナブルな社会を目指す
- MAX WORLD監修
-
パーム油やPKSの情報を発信
パームエナジーニュース