下関ゴルフ倶楽部～福田理事長らに支払い命令

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新装となった下関ゴルフ倶楽部

　下関ゴルフ倶楽部の福田理事長ら４人が半額でプレーをしていたことから、会員の一部は下関ゴルフ倶楽部に対して、利益相反行為及び善管注意義務違反で社員代表訴訟を起こし、損害賠償を請求するように求めた。しかし理事長らが応じなかったため、2014年10月15日、「下関ゴルフ倶楽部を愛する会」（住興信世話人）は、福田浩一理事長（山口FG社長兼山口銀行頭取）、田中耕三前理事長（山口銀行相談役）、梅崎弘毅キャプテン、田口三郎前キャプテンの４人を相手取り、社員代表訴訟を山口地裁下関裁判所に提訴。

　二年に及ぶ審尋を経て、11月30日に判決が下された。原告側は主張がほぼ認められ全面勝訴を勝ち取ったが、被告４人にとっては全面敗訴の厳しい判決が下されたのだ。

　被告側は書面到着後２週間以内（12月16日）に広島高等裁判所に控訴することができる。ただ一審で下された裁判の判決は「控訴しても無駄だぞ」といわんばかりの内容であり、控訴しても覆ることはなく、時間の浪費だろうとの見方が大勢を占めている。

被告４人に下された判決内容

（１）福田浩一理事長
【原告の請求】
　被告福田は、補助参加人に対し、平成24年４月１日から平成26年７月31日まで、通常料金より3,200円安い料金で合計88回プレーをしており、差額プレー代金28万1,600円及びこれに対する平成26年８月１日から支払済みまで年５分の割合による金員を支払え（3,200円×88回=281,600円）

【判決】
　被告福田は、補助参加人に対し、28万1,600円及びこれに対する平成26年10月26日から支払済みまで年５分の割合による金員を支払え（原告の請求通り）

注：補助参加人は下関ゴルフ倶楽部を指す。また原告は、以下３人に対して平成26年８月１日から年５％の金利を請求しているが、裁判官は平成26年10月26日からとしており、及び以下は同文のため省略する。

（２）梅崎弘毅キャプテン
【原告の請求】
　被告梅崎は、補助参加人に対し、20万1,600円を支払え （3,200×63=201,600）
【判決】
　被告梅崎は、補助参加人に対し、19万8,400円を支払え （3,200×62=198,400）

（３）田中耕三前理事長
【原告の請求】
　被告田中は、補助参加人に対し、43万5,200円を支払え（3,200×136=435,200）
【判決】
　被告田中は、補助参加人に対し、43万5,200円を支払え

（４）田口三郎前キャプテン
【原告の請求】
　被告田口は、補助参加人に対し、199万400円を支払え（3,200×622=1.990,0400）
【判決】
　被告田口は、補助参加人に対し、199万400円を支払え

判決から見えるもの

　福田浩一理事長、田中耕三前理事長、田口三郎前キャプテンの３人については、原告の請求通りの金額支払いが命じられた。梅崎キャプテンの１回分の減額は、平成26年８月31日に開催された新会員懇親協議会に参加を指し、唯一原告との見解相違となった。

　被告４人は「半額プレ―」の正当性を主張したが、泉薫裁判官は、「昭和59年12月に開催された理事会でプレー代の一部免除が承認されたと被告は主張する反面、決議から10年以上経過しておりその承認決議の議事録はないという。しかしその承認決議の内容は、（被告らの主張によれば）理事との自己取引を承認するという重要なものであり、しかもそのルールは現在まで継続しているものであるから、コンプライアンスの意識が高い法人であれば、法定の保存期間が経過しても保存するのが通常と言える文書である」と、被告の主張を一刀両断に切り捨てたのだ。

　この裁判官の発言の裏には、「福田理事長は山口FGの会長兼山口銀行会長。田中耕三前理事長も元頭取で、現在も山口銀行相談役である。あなた達が二人が下関ゴルフ倶楽部を私物化して、コンプライアンスを低下させた責任は重い」との思いが込められているようだ。

まとめ

　原告が提訴した2014年10月15日は、奇しくも山口銀行の頭取交代劇をモデルにした『実録 頭取交替』（浜崎裕治著：講談社）が発刊された日と同じだ。そこに登場する甲羅万蔵相談役と古谷政治頭取は「クーデター」を成功させて長期政権を樹立している。
　その奢りから下関ゴルフ倶楽部を私物化した福田理事長。裁判所の判決は理事長解任理由にあたるため、下関ゴルフ倶楽部は今日12月9日（金）、臨時理事会を開催し次期理事長を選出すると見られている。
　はたして誰が理事長ポストを引き受けるのか。それとも決まらないのか。名門下関ゴルフ倶楽部が再建を果たすには、まだまだ紆余曲折がありそうだ。

【データ・マックス特別取材班】