2024年04月30日( 火 )

55周年迎える建築職人集団(前)

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(株)本田組
常務取締役 本田 孝俊吏 氏

(株)本田組 常務取締役 本田孝俊吏 氏

 福岡市やその近郊エリアで建築工事を中心に、とび、コンクリート圧送工事、移動式クレーン工事などの基礎工事全般を手がける(株)本田組。今年設立55周年を迎える老舗専門工事業者でもある同社の常務取締役・本田孝俊吏氏に、建設業界の現状や職人不足への対応策などについて聞いた。

強みは「機動力」「技術力」「品質」

 ──今年設立55周年を迎えられます。貴社のこれまでの歩みや強みについて、お聞かせください。

 本田 (株)本田組は1968年6月に、祖父の本田幸義が創業したのが始まりです。その後、現取締役会長である祖母の本田梅子が2代目社長に、大叔父を経て、父の良人が4代目の社長となります。私は学卒後、介護関係の仕事に従事しておりましたが、その後本田組に入社し、昨年、常務取締役に就任しました。

 当社には「土工事部」「とび部」「コンクリート圧送部」「重機部」の4つの部署があり、各部署が横断的に連携するなど協力体制も構築されており、現場環境の効率化が図られています。現在、社員総数は54名で、このうち35名が職人です。協力会社まで含めると150名体制となります。

    バックホウやポンプ車、クレーン車など各種建設機械も取りそろえており、長年お付き合いのあるゼネコンさんの要請にいち早く対応できる機動力と技術力、そして品質が当社の強みであり、仕事への信頼につながっていると考えています。たとえば、あるゼネコンで所長を務めていた方が他社に転職した場合でも、変わらずお声がかかることがあります。「技術が営業だ」という創業者の言葉を実感すると同時に、これからも寄せられる信頼に応えられるように、技術・品質ともに研鑽を重ねなければと気が引き締まる思いです。

 ──業界環境の現状と今後の見通しについてはいかがでしょうか。

 本田 当社は主に福岡市および近郊エリアで、マンションや倉庫などの建築に携わっています。福岡都市圏における建設需要は旺盛で、近年は平均40~50現場が同時進行している状況です。職人不足ではありますが、お声がけいただいた案件については、長年お取引させていただいているお得意先でもあり、何としてでも品質は下げず、人員配置を含めた工夫を凝らしてお受けしています。

課題は「労務単価」と「職人不足」

 ──「2024年問題」では、どのような影響が考えられますか。

 本田 残業時間の上限規制適用については、移動時間が長い遠方の現場ほど、現場での作業時間が確保しづらくなり、工程面で影響が出ると思います。そこはゼネコンさんと綿密な打ち合わせのうえ調整し、働きやすい現場づくりを目指していこうと考えています。安全第一はもとより、工期の遵守に努めています。

    ──専門工事業における課題をお聞かせください。

 本田 1つは労務単価の問題です。スーパーゼネコンでは、とび職人1人あたりの労務単価を上げる方向で見直そうとしていると聞いています。地場ゼネコンとの価格差がさらに開くことになるでしょう。そちらに流れてしまう職人も散見されます。資材、人件費、外注費などの価格が高騰しており、予算額と見積価格が合わなくなってきたと感じます。
 こうした状況を踏まえると、やはり根本の職人不足問題の解消が最大の課題です。今現在、外国人技能実習生および協力会社を含めて、お声がけいただいた仕事には何とか対応できておりますが、「2024年問題」に対応するうえで、職人不足問題の解消なしに状況の改善はないと思います。

(つづく)

【内山 義之】


<プロフィール>
本田 孝俊吏
(ほんだ・たかとし)
1989年生まれ、福岡県春日市出身。九州産業高等学校、九州産業大学卒。学卒後は介護関係の仕事に従事し、その後(株)本田組に入社。2021年に取締役に就任し、23年に常務取締役へ昇任。趣味はゴルフ、仲間との交流会。

(後)

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