2024年04月30日( 火 )

55周年迎える建築職人集団(後)

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(株)本田組
常務取締役 本田 孝俊吏 氏

 福岡市やその近郊エリアで建築工事を中心に、とび、コンクリート圧送工事、移動式クレーン工事などの基礎工事全般を手がける(株)本田組。今年設立55周年を迎える老舗専門工事業者でもある同社の常務取締役・本田孝俊吏氏に、建設業界の現状や職人不足への対応策などについて聞いた。

待遇改善で離職率低下

 ──職人不足への対応は、どのように行われていますか。

 本田 新卒採用は、毎年ではありませんが福岡県内の一部の工業高校から話をいただき、現在も卒業生が8名働いています。中途採用でも若い子が入社してくれており、昨年はホームページのリニューアルに、会社紹介のパンフレット作成など、広報活動にも注力しました。当社には4つの部署があるため、採用した人材の適性を見極め、どの部署が適切なのか、どのように育てていくべきか、新入社員の受け入れ体制の整備に力を入れてきました。採用と同じくらいに、離職率の低下に力を入れてきたのです。我々のころとは違い、今は若い子たちへの教え方にも相応に配慮が必要です。何人採用して何人育てられるのか、社内体制の在り方に試行錯誤しながら、ようやく人材育成のスタートラインに立てたと思っています。今後は制作したパンフレットを持参して県内の工業高校をまわるほか、求人活動への対策を進めていこうと思っております。

 ──離職率が低い要因は、どのようなところにあるのでしょうか。

 本田 社員の能力に応じた細やかな評価制度を導入しており、それが昇給につながっていきます。また、社内行事においては3~4カ月に1回、食事会を開催して親睦を深めています。10月には、全社を挙げて協力会社の方々にも参加をいただき、日頃の感謝の意味を込めて運動会を行っています。社員の家族はもとより協力会のご家族にも来ていただき、総勢250名ほどの規模になります。我々社員が運営を務め、景品も競技者全員に行きわたるよう工夫しており、大変喜ばれています。

運動会の様子
運動会の様子

    また、3月は10年ぶりに社員旅行に行くことができました。やはり、社員、協力会社とのコミュニケーションは仕事を円滑に進めていくためにも重要で、社員1人ひとりと真剣に向き合い、上がってくる要望については、すべてとは言いませんが、できる限り応じていきたいと考えています。新人の採用も大事ですが、現在在籍している職人に長く務めてもらうため、いかに働きやすい環境を整えていくかが、我々経営陣の役割だと思います。

 また、職人の資格取得にも積極的に取り組んでおり、1級とび技能士7名をはじめ、1級コンクリート圧送技士9名、足場の組み立てなどの作業主任者15名、車両系建設機械運転者18名など、多くの有資格者が在籍しており、仕事に対して誇りをもてることも離職率の低下につながっていると思います。

 ──近年は職人不足への対応策として、専門工事業界でも外国人技能実習生が増えてきました。

 本田 当社でも5年ほど前からベトナムの外国人技能実習生を採用しており、現在は9名の実習生が日々頑張ってくれています。社員寮を完備しており、そこで実習生たちが共同生活をしているほか、遠方から当社に入社した社員も寮生活を送っています。

 ──最後に、これからの本田組についてお聞かせください。

 本田 ホームページおよびパンフレットの表紙に「のびしろが半端ない会社」という言葉を掲げています。現在の当社の平均年齢は38~39歳ぐらいでしょう。18~35歳の社員が12名在籍している非常に活気のある会社です。若い社員が多く、可能性をいっぱい秘めている会社という思いでキャッチコピーをつくりました。まだまだ成長中の会社です。代表の父が69歳で、私は今年35歳になります。昨年、常務取締役となり将来的な代替わりを見据えて、これからどんどん新しいことに取り組んでいくのと同時に、50年以上受け継がれてきた当社の強みである「技術」をさらに伸ばしていきたいと考えております。100年企業を目指し、現状維持ではなく、これからをつくる会社であり続けたいと思います。

(了)

【内山 義之】


<プロフィール>
本田 孝俊吏
(ほんだ・たかとし)
本田孝俊吏1989年生まれ、福岡県春日市出身。九州産業高等学校、九州産業大学卒。学卒後は介護関係の仕事に従事し、その後(株)本田組に入社。2021年に取締役に就任し、23年に常務取締役へ昇任。趣味はゴルフ、仲間との交流会。

 

<COMPANY INFORMATION>
代 表:本田 良人
所在地:福岡県春日市若葉台西3-129
設 立:1969年4月
資本金:1,200万円
URL:kk-hondagumi.co.jp

(前)

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