2024年04月26日( 金 )

森友学園と国は激安国有地売買の交渉記録を開示せよ

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、およそ8億2,000万円の大幅値引きの末に払い下げられた国有地の売買に関する経緯と、買い手の森友学園・籠池理事長の発言について触れた、2月28日付の記事を紹介する。


アベ友事案はアベ友事件に発展するのが順当だ。問題の根幹は、不動産鑑定評価書が9億5,600万円の国有地が1億3,400万円で払い下げられたこと。国は埋設物撤去費用を8億1,974万円と算出して、これを鑑定評価額から差し引いて払い下げた。しかし、地下3メートルまでの埋設物除去については、1億3,176万円が国から森本学園に支払われている。

そして、摩訶不思議であるのが時系列である。

・2016年3月11日 地下埋設物が発見されたと森友学園が近畿財務局に通告。
・2016年3月14日 廃材発見の旨を財務局が航空局へ連絡。現地確認が実施された(確認はされていない)。
・2016年3月24日 埋設物対策・早期開校の為、森友学園が近畿財務局へ土地を買い取りたい旨を申し出る。
・2016年4月6日 森友学園が負担したとされる地下3メートルまでの埋設物除去費用1億3,176万円(埋設物対策分が約8,632万円、土壌汚染対策分が約4,543万円)を大阪航空局が森友学園に支払う。
・2016年4月14日 校地面積の約6割を対象とした、埋設物撤去費用8億円(1万9,500トン、ダンプカー4,000台分と推計)の見積りを航空局が近畿財務局へ連絡。
・2016年5月31日 不動産鑑定評価書を提出(鑑定評価額9億5,600万円)。
・2016年6月20日 当該国有地が1億3,400万円で森友学園に払い下げられ、所有権が移転。

この経過について、森友学園の籠池泰典氏が2月20日のTBSラジオ番組「荻上チキ・Session-22」に電話出演して次のように述べている。

荻上:そうした中で工事を進めていく中で、埋蔵物が見つかってそのことを報告して、その後に購入を申し出たという事ですけれども、あまりこういった契約に詳しくないといっている籠池さんが、この期間でゴミが出てきたから安くなるだろうということで、金額はまだわからない段階だろうと思うんですけど、買いますと言えたのはどうしてなんでしょう?
籠池:賃借料が例えば1千円だとするでしょ。
荻上:今回は月額227万円の支払いという事になっていましたね。
籠池:なってるでしょ。その通りですけども、そうなっていると例えば一般の民家でもですね、土地が非常にきれいな土地でありましたということでありましたらその金額でしたと。ところが掘っていく事によってボーリングをして、そのところに、杭打ちをしてその上に建物を建てないといけないといったときに、下から悪いものが出てきましたと。そのときに人体に影響のない、そして軽度のものだけれども、何かヘンなものが出てきましたといったらやっぱり地主としては、本来、民民の場合だったら地主さんがきれいな土地にして、それを借主に貸しますよね。でも、お国の場合はそうじゃなかったわけですから、やっぱりちょっと国のほうも知らなかったんだろうけれども、悪い土地というか悪いものが出てきたなと。それだったらちょっと安くしてくれるんじゃないかなという思いは当然なりませんか?
荻上:ということは金額がどれくらい安くなるかという確信なしに、買えるようになるだろうということで購入に変更したという事ですか?

籠池:買える金額になるだろうではなくて、例えば深いところからも出てきましたしね。浅いところからも出てきたと。それは、これはちょっとなんというのかな。工事の期間もかかるけどたくさん入っているかもわからないなというような気持ちが、気持ちというか第六感が働きまして、これはちょっと賃借料にしたらかなり安くなると。そうすると賃借料が安くなるということは購入させてもらえる金額に近づいてくるというのではないかということで、これも自分の第六感ですが、それだったらいくらになるかわからないけど国のほうが指し示してくれる金額で購入させていただきましょうかという風な感じを持ちました。

不動産鑑定評価額が9億5,600万円の国有地が1億3,400万円で払い下げられた。この件について、籠池氏は何も知らないと述べた。

荻上:その結果8億円値引きされて、実質1億円ちょっとで購入できると知ったときはどう感じた?
籠池:あのねえ、8億円云々というけど元々その金額がいくらだったのか知らないんですよ。

そして、森友学園は1億3,400万円になった国有地を、なんと頭金と10回分割払いで購入しているのである。資金代金が完済されず、抵当権も付けられずに所有権が移転するのも不可思議である。いずれにせよ、1億3,400万円の資金も支払うことができずに、10回分割払いにしてもらった森友学園が、地下からゴミが出てきただけで、「買える金額になる」との「第六感」が働いたというのは、不自然の領域を超えている。
1億3,400万円の土地代金すら支払うことができない法人が、地下からゴミが出てきただけで、金額も確かめずに「購入する」と伝えること自体が不自然極まりない。

上記時系列では、購入価格が判明したのは2016年5月31日ということになる。金額が判明して20日後の6月20日には売買が実行され、所有権が移行している。いずれにせよ、2016年3月11日から6月20日までの、森友学園と国、近畿財務局、大阪航空局とのやり取りは、1年を経過していない。

すべての交渉記録を開示させる必要がある。

※続きは2月28日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1678号「産廃マニフェストで明らかになる8億値引きの違法性」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

 

 

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