2024年04月26日( 金 )

財政法違反の財務省による国有財産激安払い下げ

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、森友学園問題に潜む3つの謎を喝破した、3月19日付の記事を紹介する。


2012年2月26日の一般財団法人「日本教育再生機構」主催「教育再生民間タウンミ―ティングin大阪」後に開かれた居酒屋会合に籠池泰典氏が出席していたのかどうかは確認されていない。しかし、この直後から森友学園による小学校設置に向けての動きが加速したことは事実である。
2012年4月に大阪府が小学校設置基準の緩和を実行した。森友学園が小学校を設置できるための措置を講じたと見なすことができる。関空会社に移転登記した豊中国有地を大阪航空局所管の土地に戻す登記変更が行われたのは2013年1月。第2次安倍政権が発足した直後である。安倍晋三氏ならびに安倍昭恵氏から寄附がなされたのかどうかについて、安倍昭恵氏が講演料を寄附に差し替えた可能性があるが、この場合、受け取る講演料を寄附に差し替えたなら、講演料の受領・寄附の実行ということになる。この場合、「寄附は行われた」と解釈するのが正しい。「寄附が行われていない」ということにはならない。

「アベ友事案」第一弾の森友学園問題には三つの側面がある。第一は、国有財産が適正な対価で譲渡されなかった疑いである。第二は、安倍首相や安倍政権の閣僚が国会で虚偽答弁をしたのではないかとの疑いである。第三は、森友学園の教育に不法行為があったのではないかとの疑いである。
3月23日に予定されている国会証人喚問では、安倍首相の国会でのこれまでの答弁に「虚偽」がなかったのかどうかに焦点が当てられるが、この事案の核心が、第一の点にあることを忘れてはならない。
第一の点は、国有財産が適正な対価で譲渡されなかったのではないかとの疑いである。鑑定評価額9億5,600万円の国有地8,770平米が1億3,400万円で払い下げられた。隣接する国有地9,492平米は5年前に豊中市に14億2,300万円で売却されている。さらに、森友学園には地下埋設物撤去費用として1億3,176万円が支払われている。1940年当時の当該国有地の形状を確認すると、一部に池状の部分があり、この池状の部分を埋め立てた際にゴミが混入した可能性があるが、その分は極めて限定的であり、8億円もの値引きには合理性がない。国有地を払い下げた部署の責任者は迫田英典理財局長(当時)である。また、大阪府私学審議会は、当時の基準に反して学校設置認可適当の判断を示した可能性がある。これらの行政判断の妥当性、適法性が厳正に検証されなければならない。

籠池氏の証人喚問だけで幕引きを図ることは許されない。国民の貴重な資産が強奪されている。今回の森友学園への激安払い下げは、2009年に表面化した「かんぽの宿」の激安払い下げ事案と重なる部分が多い。国民資産、国有財産が「適正な対価」でなく譲渡されることは、国および国民に損害を与えるものである。

また、TPP交渉などでは国民の利益を損なう外交判断が示されてきた。これらをまとめて『「国富」喪失』と表現することができる。3月24日に詩想社新書として『「国富」喪失』を上梓する。
価格は本体920円、税込み1,000円である。amazonが予約購入を受け付けているので、ぜひご高覧賜りたい。

※続きは3月19日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1693号「財政法違反の財務省による国有財産激安払い下げ」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

 

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