2024年04月27日( 土 )

水素水、インチキ販売多発で市場衰退も

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 警視庁生活環境課は6月27日、清涼飲料水として販売されていた水素水を、医薬品認証を受けていないにもかかわらず、「がんや動脈硬化に効く」、「悪玉活性酸素を体外に排出」などとうたった広告を出して販売していたとして、(株)ジャパンミート(本社:茨城県小美玉市)と同社店舗の従業員3名を、「医療品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、医薬品医療機器等法)」の違反の疑いで、書類送検したと発表した。

 水素水販売は最近、厳しい状況が続いている。(独)国民生活センターは昨年12月、水素水に関する相談が2,260件(2011年4月~16年9月末日まで)寄せられていたことから、容器入り水素水(10銘柄)と水素水生成器(9銘柄)を対象に商品テストを実施。結果、開封時の溶存水素(水素ガス)濃度が表示値を下回る商品や、溶存水素が検出されない商品が販売されていることが分かったとし、また販売する事業者(15社)に対して水素水を飲むことで期待できる効果をアンケートしたところ、最も多い回答は「水分補給」と回答した一方、販売元等のホームページや直販サイト、商品のパッケージには、医薬品医療機器等法や健康増進法、景品表示法に抵触するような表示があったとして、行政に対し、表示の改善を指導するよう要望している。

 また消費者庁では今年3月、水素水や水素サプリメントのウェブ広告で、根拠がないにもかかわらず、疾病予防効果や痩身効果をうたっていたとして、(株)マハロ(東京都港区)、(株)メロディアンハーモニーファイン(大阪府八尾市)、千代田薬品工業(株)(東京都千代田区)に対し、景品表示法に基づく措置命令を下した。このほか、同庁では同月に(株)スイソサム(佐賀市兵庫南)が輸入販売する水素水サーバーが、福岡県で焼損する火災が発生したとして注意喚起を促していることなど、品質や機能性、安全性に関する問題が噴出している。

 ここ数年、週刊誌などのメディアで水素水についてのネガティブな報道はされていたが、(株)伊藤園、パナソニック(株)、シャープ(株)、(株)中京医薬品、協同乳業(株)など大手企業の参入もあり、そうした報道を掻き消すかのように市場は急激に拡大していた。しかし前述の通り、昨年以来行政の水素水に対する監視の目が厳しくなり、販売会社や関係者筋からは「売り上げが半減した」「販売しているとイメージダウンにつながり、他商品の販売にも影響するため、新規獲得の広告掲載を取りやめた」、「状況次第では販売終了も視野に入れている」とし、今後に市場については「現実に商品は売れていないし、確実に縮小に向かっている」など水素水事業については後ろ向きな声が多い。水素水市場は、一部の消費者騙しのようなインチキ販売に対して行政が動く事態となり、健全な販売業者も巻き込み、市場衰退の道を辿ろうとしている。

 

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