2024年04月27日( 土 )

冬虫夏草の人工栽培実り 商品化へ 糸島の農建産業

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 糸島市の農建産業(株)は人工栽培が困難とされてきた「冬虫夏草」の商品化を実現した。冬虫夏草はセミなどの幼虫に寄生するキノコで漢方薬として有名だが、人工栽培は困難とされていた。九州大学農学研究室の大賀祥治教授が長年の研究により、人工栽培に成功。同社との共同研究で、商品化にこぎつけた。同社は2015年に製造・栽培の権利を取得。天然物は1キロ800万円とも言われているが、人工栽培により比較的安価で提供できる。今後も九州大学と連携しながら、製造販売の拡大を目指していく。

野菜の王様との組み合わせ

 今回、商品化に成功したのは、冬虫夏草とニンニクと組み合わせた「きのこと野菜の王様」。冬虫夏草は国内ではほとんど市場に出回っていない。中国では、数百社が販売しているが、最大手は1社で9,500億円ほど売り上げるという。

きっかけは真空乾燥機

 4年ほど前に同社が導入した真空乾燥機を展示会に出展したところ、それを見た大賀教授が冬虫夏草の乾燥に使えないかと相談があった。以降、冬虫夏草の共同研究を進め、同社では、サナギタケではなくセミタケを栽培。冬虫夏草の原種に成分が近いもので、栽培に成功。ようやく商品化となった。冬虫夏草の販売が進まなかったのは、販売ルートが確立されなかったためだが、国内外への販売ルートが構築されつつあり、商品サンプル製造に至った。

 同社では、今後健康食品の展示会で出展を予定。現在は試験販売から、販売ルートの確立を目指している。現在は工場の一部を冬虫夏草の栽培に使っているが、販売ルートが確立されれば、工場を拡大する計画がある。組み合わせるオーガニックのニンニクが来年4月より安定供給できる状況になる。これまで健康食品の販売は経験はなく、新事業となるが、まずは国内での販売を進める。

【東城 洋平】

<COMPANY INFORMATION>
農建産業(株)
所在地:福岡県糸島市二丈田中384番地
TEL:092-323-3801
FAX:092-323-3970

 

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