2024年04月27日( 土 )

枝野さん、視野を広げないと未来は拓けない

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、日本の既得権勢力である「米官業」のトライアングルに挑むべき立憲民主党・枝野幸男代表に対立軸を明らかにするべく激励を送る1月6日付の記事を紹介する。


政界再編の裏側にいるCIAの意思を明確に把握しておくことが必要だ。昨年10月の衆院総選挙を契機に民進党の分離・分割がようやく一歩進んだ。本来は9月の民進党代表選で、民進党内に2つの政党が同居していることが明確になったのだから、この時点で民進党の分離・分割に進むべきだった。私はかねてよりこのことを主張してきた。情勢が変化したのは、民進党代表に就任した前原誠司氏が民進党の希望の党への合流を強行したことだった。この合流が、「安倍政治を終焉させること」の1点に目的を絞り、安倍政治と対峙するすべての勢力との大同団結を目指すものであったなら意味があっただろう。安倍政治を終焉させることに成功した可能性が高い。しかし、前原誠司氏と小池百合子氏が目指した者は、これとはまったく異なるものだった。戦争法制を容認し、憲法改定を推進する第二自公勢力を創設するものだったのである。民進党議員および総選挙立候補予定者に対して、「全員合流」と言いながら、戦争法制反対、憲法改悪阻止のメンバーを排除することを念頭に入れていたといえるのであり、前原氏の行動は背徳以外の何者でもなかった。

小池百合子氏の側は、当初から、戦争法制、憲法改定のハードルを設定しており、民進党の丸ごとの合流を前提としていなかったと考えられる。この意味では、小池百合子氏の側は当初の方針通りに動いたものであった。しかし、新党での公認申請書には、政策についての誓約が記載されており、その内容は、この新勢力が安倍政治を終焉させるための大同団結実現を目的とするものではないことを明確に示していた。この経緯があり、遅ればせながら民進党の分離・分割が始動したのである。分離・分割の基軸は「政策」である。そもそも政党は、政見と政策を一致する者の集合であるから、政見と政策が真逆の者が同居していることに最大の矛盾がある。不幸の原因は矛盾にあるといわれる。民進党が旧民主党の時代より、一貫して凋落の道を歩んできたのは、この政党に二つの相反する勢力が同居を続けてきたからなのである。

2009年に政権交代の偉業を成就した当時の民主党は、日本政治の根幹を革新する明確な方針を明示していた。米国が支配する日本、官僚が支配する日本、大資本が支配する日本を根底から刷新する方針を明示した。辺野古米軍基地建設を中止させる、官僚の天下りを根絶する、企業団体献金を全面禁止する、という明確な方針を明示した新政権であった。この基本方針が日本の既得権勢力を震撼させたことはいうまでもない。日本を支配してきた米国・官僚機構・大資本の三者は、この米官業による日本支配の構造を根底から覆される危険に直面したのである。その結果として、この米官業トライアングルは、死に物狂いの猛反撃を展開した。目的のためには手段を問わない卑劣で悪質な手法をも含めて、猛反撃を展開したのである。政権交代を主導した小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏に対する人物破壊工作はこの文脈上に位置付けられる事象であった。そして、鳩山政権の破壊に最大の貢献をしたのが、民主党内に潜んでいた既得権勢力のメンバーであった。私は、この勢力の中核を悪徳10名衆と表現してきた。彼らは革新勢力ではなく、「隠れ既得権勢力」に属する者たちだったのである。

※続きは1月6日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1938号「枝野さん、視野を広げないと未来は拓けない」で。


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