2024年04月26日( 金 )

希望者には週休3日も導入へ~西日本MR物流グループ原武運送(有)

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松門 龍治 社長

 昨年から宅配業界を中心に議論がなされてきた物流費問題。3月1日に日本郵政(株)の「ゆうパック」の運賃が値上げされ、大手宅配業界の値上げは一巡した。物流費を改善したことで、佐川急便(株)は昨年秋に社員の初任給を2万円上げ、トラック運転手の待遇改善を図るなどして、人材不足解消に取り組んでいる。

 一方、地場企業に目を向けるとどうだろうか。「物流費の改善はおろか、人材不足の状況がさらに悪化している」というのは、久留米市で運送業を営む西日本MR物流グループ原武運送(有)の松門龍治社長だ。

 松門社長は以前、NetIB-Newsで「旅の職人」として長距離トラック運転の仕事の醍醐味を語ってくれた人物だ。だが、松門社長によると、今年に入って採用面で苦戦を強いられているとのこと。「給与待遇改善の宅配業界に人が流れているのか、引越業者も含め、我々のような運送業界は、雇用面で大きな問題を抱えている」(松門社長)。広告を掲載しても、冷やかしの電話すらないこともあるという。

 そこで同社は4月より、本格的に待遇改善に着手し、希望者には週休3日を認める制度をスタートさせた。

 「当然、正社員採用で、希望者には週休3日を認めます。休みが多い分、給料も減りますが、さまざまな事情を抱えている人にとっては、働きやすい制度になります」。

 さまざまな事情とは、両親の介護で休みが多く必要な人や、育児で休まざるを得ないことなどを指す。有給休暇があっても、なかなか取得しづらい企業が多いなか、積極的に取得させる企業風土を構築してきた。「働き方改革と言われていますが、このまま人材が不足したままでは我が社の発展は見込めません。仮に、求めている人材の100%の条件を満たす方が来なくても、今いる社員みんなで補っていきたい。運送業界にいろいろな偏見や疑問がある方は何でも話してほしい。面接に来られる方は、逆に我々を面接していただきたい」と松門社長は語る。

 人材不足は運送業界に限った話ではないが、待遇を改善してまで採用を行う松門社長の覚悟がうかがい知れる。同社の働き方改革が奏功するか注目される。

【矢野 寛之】

 

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