2024年04月27日( 土 )

業界初!福岡市の不動産業者、遠隔での手話通訳サービス開始~聴覚障がい者の入居促進

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 不動産業界では初の試みとなる「遠隔での手話通訳サービス」を始めたのは、(株)ミライロ(本社:大阪市淀川区、垣内俊哉社長)と(株)ガンツ不動産(本社:福岡市博多区、森田光俊代表)。聴覚障がい者がガンツ不動産に来店した際に、コールセンター機能を担うミライロの手話通訳士につなげる。ミライロが受けた手話での情報をガンツ不動産に音声で伝達し、通訳を行うもの。タブレットを利用した筆談も同時に行いながら、来店ニーズを聞き取る。

 「古くなった物件では、空室も目立つようになる。家賃を下げずに、どうにか空室を減らせないものか。健常者のみでは、今後の空室は埋められないのではないか」――そう思い立って、森田代表はこれまで健常者への賃貸がほとんどだったオーナーたちに相談を始めた。

 「入居の相談をしても、どうせ駄目だろう」――発案前に聴覚障がい者に取ったアンケートでは多くの人が、そう回答した。それでも、手話サービスがあれば、利用したいという意見も多かったため、「潜在的なニーズはある」と考えた森田社長は導入に踏み切った。金融機関からの紹介を受けて、ユニバーサルデザインのコンサルティングを手がける(株)ミライロと出会い、協働が決まった。

 聴覚障がい者が部屋を借りる場合、その多くは補助する人が必要だ。2世帯または借り主名義は別で、実際住むのが障がい者というケースだ。障がい者が一人暮らしで、借りられるケースは少ないのが現状だ。実際、福岡県でも博多・天神エリアで働くため、部屋を探したが結局見つからないまま、遠方から通勤している障がい者は多いという。サービス開始から間もないが、すでに問い合わせが入っており、滑り出しは順調のようだ。

 目下の課題は、数多くのオーナーの許可を得ること。まだまだオーナーは障がい者に部屋を貸し出すことに抵抗があるようだ。健常者とは異なるコミュニケーション上の問題を危惧する傾向が強いという。

 聴覚障がい者へのサービスは計画の第一弾で、今後はほかの障害にも広げていき、最終的には後期高齢者でも借りられる物件として、「ユニバーサル賃貸」を浸透させる計画だ。

【東城 洋平】

▼関連リンク
・(株)ガンツ不動産
・ユニバーサル賃貸​

 

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