2024年05月02日( 木 )

厳しい環境を結束力と堅実さで乗り越える 安全機材用品のリーディングカンパニー(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

(株)グリーンクロス
代表取締役社長 久保 孝二 氏

 1969年に交通標識製作所として創業して以来、工事現場等へ安全機材などの販売・レンタル業を軸に、看板事業、サインメディア事業を展開する(株)グリーンクロス。全国に57の営業所、社員数は約850名と、安全機材用品を取り扱う業界でトップクラスのシェアを誇る。コロナ禍においても増収増益を更新し続けている。代表取締役社長久保孝二氏に2022年を振り返ってもらうとともに、業界の状況および23年以降の展望について話を聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 専務取締役 緒方 克美)

コツコツ人を育て、会社を堅実に成長させる

 ──23年の抱負についてお聞かせください。

 久保 まず、22年の投資の回収を見定めることから考えています。販管費が増額していますので、5%程度の売上増では赤字です。増益させるには12~13%上げなければいけません。社員の意識向上のためにも、結果を視覚化して共有がすることが大切ですね。M&Aも良いご縁があれば、積極的に進めていく予定です。

 そして、看板クリニックの事業展開に一層、力を入れてまいります。1999年の事業立ち上げから少しずつ進めてきましたが、全国各地に広げて収益増を目指します。

 今後、材料費や輸送費が高騰するでしょう。格差社会化が進み倒産も増えるでしょう。個人も企業も同じで、厳しい環境下でどううまく立ち回るか、勝負の時ではないでしょうか。方法論だけ、知識だけではどうにもなりません。さまざまな方面から情報をつかむ力、そして活用する力が重要です。気を引き締めて23年をスタートさせていきます。

 ──採用と人材の育成についてはどのような方針ですか。

 久保 採用は今まで以上に、拡大していきます。私は代表就任時から、人材育成に力を注いできました。創業者である先代も、人を育てる重要性を幾度となく説いていました。会社というものは若い人の成長なしに発展は不可能です。人材育成はもちろん当社だけではなくどの企業にとっても永遠の課題だと思います。やはり年齢が離れるほど、あらゆる面で価値観が異なり、仕事への意識においても差異が大きくなります。経営陣と労働者の間にはどうしても埋まらない溝があるでしょう。とはいえ、今昔のどこが良いとか悪いとかの問題ではありませんし、各部署の中間管理職に頑張ってもらうことも必要です。

 育成には課題が残りますが、採用人数はありがたいことに年々順調に増えております。1人でも多くの新入社員に5年、10年後に主戦力として活躍してもらえたらと思います。家庭環境も社会情勢も変化し続けており、学校教育の現場も同じです。企業における育成も当然、試行錯誤しながら柔軟に改良していきます。また、工事現場ではAIの導入が進んでおり、いずれは採用でもAIが活躍する時代が来るかもしれません。

(株)グリーンクロス 代表取締役社長 久保 孝二 氏
(株)グリーンクロス
代表取締役社長 久保 孝二 氏

    会社が大きくなればなるほど、広報の役割が重要になります。当社は、採用担当者が広い視野をもちよく動いてくれています。事務も営業も、皆それぞれ大変なことがあり、どちらが上か下か、楽か辛いか、そんなことを比べるべきではありません。実際に取り組んでいる業務に、誰が関わっていて、どんな経緯があるのか、そういった話を繰り返ししていきながら、自分の担当外の業務内容にも目を向けて理解することで、円滑なコミュニケーションは育まれてきます。

 インスタグラムも好評です。会社のイベントや日常の様子をあげています。とくに今の若い世代はSNSをよく見ていますので、当社に興味をもってくれるキッカケになればと期待しています。創業50周年でつくったポロシャツもなかなかに人気です。丈夫で乾燥も早いので、社員にも好評ですし、お客さまからデザインを変えて同じものが欲しい、といわれることも多々あります。もともとデザイン部があり得意分野ですから納品まで短時間で対応が可能です。

 ──アイデアを生むために、リラックスなど心掛けていることはありますか。

 久保 頭を空っぽにして仕事を忘れる時間を取るのは難しいのですが、常に考えてしまうからこそ、生まれるアイデアも多いです。先日、招待された忘年会で隣になった方から雑談中に面白い話を聞きました。それは、社内で共有できる受注現場を把握したマップでした。営業の氏名まで入れてピン付けし、一目でわかるようにすると、モチベーションアップにもつながるのではと思い、帰ってからすぐに、情報収集を始めました。常に会社のことを考えるのも、悪いことではないと前向きに捉えています。そういったことができるのも、健康だからこそと思っています。

 社員数が増え、全員が集まる大きなイベントの開催は困難になってきています。ただ、こういった会社行事に対して若い社員が抱く感覚は違うでしょうし、意義を感じないかもしれません。今後は、増収増益の営業所は少人数で一緒に社員旅行に行くなど、もっと前向きに楽しめるようなかたちをとっても面白いかな、と構想を練るなどしています。

 ──多様化する社会環境で、必要なリーダーシップとはどのようなものでしょうか。

 久保 リーダーが何をどうしたいか、目標を明確に定めることではないでしょうか。それがなければただの自己満足です。会社がより良い方向に飛躍するように、真剣に考えなければいけません。

 我々経営者は、前に出ることが苦手、好きではない、と済ませることはできません。伝える方法はたくさんあり、そこに個性も出ると思いますので、試行錯誤しながら自分の言葉で語る必要があります。想いはやがて熱を帯びて大きなエネルギーに変わります。評価は周りがすることになりますが、常に前を向いて未来へのビジョンを示し続けることがリーダーの基本姿勢だと考えています。

(了)

【文・構成:清家 麻衣子】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:久保 孝二
所在地:福岡市中央区笹丘1-17-29
登記上:福岡市中央区小笹5-22-34
設 立:1971年7月
資本金:6億9,726万円
売上高:(22/4連結)204億9,673万円
TEL:092-737-0370
URL:https://www.green-cross.co.jp/


<プロフィール>
久保 孝二
(くぼ・こうじ)
1971年2月生まれ、長崎県出身。98年に(株)グリーンクロス長崎支社に営業として入社。2000年久留米支社長代理、04年開発次長、05年執行役員営業管理部長、08年取締役。11年4月に代表取締役社長に就任。

(前)

関連記事