10年間にわたり販売トップ　次は管理戸数１万戸へ

（株）えんホールディングス

　福岡市博多区と中央区で辺りを見わたせば、「エンクレスト」が目に入るといっても過言ではない。今年8月時点での管理戸数は8,229戸を数え、2016年までの10年間は常に販売数でトップを走り続けてきた（株）えんホールディングス（以下、えんHD）。創業30周年を迎える19年には、管理戸数1万戸突破と自社ビルの完成を目標に掲げている。

供給伸ばし事業拡大　10年連続で県内トップ

　「エンクレスト」マンションの第1号は、2000年1月に完成したエンクレスト西公園（中央区、56戸）。その後は年間平均5棟のペースで供給していった。さらに、棟数の増加を上回るスピードで戸数も増加。16年までの福岡県内におけるマンション販売戸数では10年連続1位、資産運用型分譲マンションに限っては、14年連続1位（※フクニチ住宅新聞調べ）を獲得した。

　管理戸数の増加にともない賃貸・建物管理などの管理部門の重要性は高まり、収益面でもその存在感は増してきた。この管理部門の強みをさらに生かすべく、これまで販売から管理、流通まで一元的に運営してきた（株）えんは、16年7月に事業を分割。（株）えん、（株）えん建物管理、（株）えん賃貸管理、（株）えんコーポレーション、（株）えんシステムにそれぞれ分割された。これにより、持株会社のえんHDを含む6社で構成される新たな「えんHDグループ」が発足した。

　分社化の狙いは、グループの建物管理・賃貸管理・流通事業の強化、成果と責任の明確化。そしてポストの増加だ。今年6月には学会などのイベント運営を手がける新会社の（株）えんコンベンションサービスが設立され、えんHDグループは7社体制となった。えんコンベンションサービスは主に学術集会や医学会などの企画立案から事後処理までを手がける予定といい、来年下半期の本格稼働に向け、準備が進められている。

博多STYLE近隣の広大な土地を取得

※クリックで拡大

　今年2月には大型物件、エンクレスト博多STYLE（332戸）。3月にはエンクレストベイ天神東Ⅲ（104戸）が完成。今後の物件仕入れに関しては、「地価や建築費の高騰が続いているため、仕入れは慎重に進めている。収益力強化のため、売却だけでなく自社保有も選択肢の1つ」と話していた同社は、博多STYLEを売却せず自社保有とした。

　エンクレストの多いエリア筆頭は、エンクレストベイサイド通りの完成も記憶に新しい築港本町エリア（福岡市博多区）だが、今最も注目を集めるのが住吉エリアだ。前述の博多STYLEだけでなく、博多、博多Ⅱ、博多LEGENDなど見わたせば、多くのエンクレストが目に入る。（地図参照）現状はコインパーキングとして運用されているが、えんHDによる「建設予定地」の横断幕がかけられている。

19年に30周年自社ビル竣工の候補地は

　えんHD は、19年に創業30年を迎える。30周年には供給数1万戸突破を達成し、自社ビルを竣工することが、目標であり計画だという。そして、自社ビル用地の筆頭候補がこの住吉3丁目といわれている。現在のオフィスは、天神偕成ビルの複数フロアにまたがっており、「風通しの良さ」を継続発展させるためにも、ワンフロアにまとめるメリットは十分にあるだろう。

　えんHDの原田透社長は、以前次のように語っていた。「管理戸数が1万戸あれば、市場の波に踊らされず、企業運営が安定します。弊社のお客さまは、オーナーさまと入居者さまです。『立地が良い』『対応が良い』『建物管理が良い』と入居者さまに支持されれば、自然と入居率は高いまま維持できます。入居率が高ければ、オーナーさまの支持を得ることにもつながってくるのです」。

　福岡市博多区・中央区に絞った戦略と圧倒的な供給力でトップを走り続けてきたえんHDは、25周年を迎えた13年に売上100億円を突破、16年に10年連続で販売数ナンバーワンを獲得するなどの数々の実績を築いてきた。30周年を迎える19年の目標「管理戸数1万戸および自社ビル竣工」も現実的な計画といえるだろう。

【永上　隼人】

＜COMPANY INFORMATION＞
（株）えんホールディングス
代　表：原田　透
所在地：福岡市中央区大名2-8-22　天神偕成ビル6F
設　立：1989年11月
資本金：1億円
売上高（連結）：（16/12）145億円
ＴＥＬ：092-751-8522
ＵＲＬ：https://www.en-hd.jp​