夫婦の強い絆で難局乗り越え、次のステージへ飛躍図る

（株）福建商事
代表取締役　安河内 ちはる 氏

塗装事業に強み

　──事業の状況はいかがでしょうか。

　安河内ちはる氏（以下、安河内）　当社は塗装事業を主力に、建設や土木分野で実績を積み重ねてきましたが、近年は環境、生活、健康分野にも事業の幅を広げています。塗装業が売上の9割を占めており、新築マンションの外壁塗装を元請会社の要望通りに施工するのが主要な業務ですが、当社発祥の地であり本社がある宗像市などの自治体、ゼネコンさまから受注し元請として工事を実施するケースもあります。

　当社には塗装のほか、下地（左官）・タイル・防水・シーリング・鋼製建具など、外壁改修工事に必須な技術をもつスタッフもおり、中古住宅や中古マンションの改修工事をワンストップで提供できることも強みとなっています。

    なかでも特徴的なものの1つが、特許技術による新塗膜剥離工法の採用です。過去の塗装工事（旧塗膜）には、アスベスト（有害物質）が含まれていることがありますが、現在では橋梁・鋼構造物・鉄骨の旧塗膜については、総剥離を行うことが次世代の標準となっています。そのため、新工法は大気汚染物質・温暖化ガスの排出をせず、作業員の健康面にも配慮したものであるため、当社の塗膜剥離工法へのニーズが高まっています。

　──その他事業についてはどうでしょうか。

　安河内　塗装関連では、一般住宅や事業用建物の屋根や外壁を塗装により遮熱する工事にも力を入れています。低減効果は建物や立地などによって異なりますが、夏季には室温を1～3℃程度の低減、電気代換算で10～16％削減する効果が期待できます。地球温暖化による電気料金の上昇や熱中症のリスクに対応する取り組みです。

    このほか健康関連事業では、新型コロナ対策として、長時間「除菌」「抗菌」「消臭」が可能なプラチナナノ粒子“プラチーノPRO”を噴霧して特殊加工する、特許技術「プラチナシールドコーティング」、無機イオンの高分子を多孔質コーティング薄膜としてさまざまな基材の上に生成する「オールチタンセラミックコート」、空気清浄機やスプレーなどに薄めて入れ噴霧する「樹木のミスト」に関する事業に取り組んできました。これらは、安全性や耐久性、除菌・消臭などの効果が科学的に証明されたもので、オフィスやホテル、店舗、住宅などで多くの採用実績があります。

病魔との闘いを受け健康事業を強化へ

　──ところで、ご夫婦はこの数年間、病魔と戦っておられたとうかがっています。

　安河内　主人（現会長）は糖尿病と糖尿病からくる腎臓病という2つの病気を患っておりました。そのため2020年2月に私が社長職を引き継いだのですが、その年7月、私の腎臓が奇跡的に100％に近い適合率であったことがわかり、すぐに腎臓移植手術を決意し実施することとなりました。

　無事に手術は成功したものの、主人は極度の食事制限が必要となり、私も強度の更年期障害になってしまい、夫婦2人が体力を失う事態となりました。ちょうど、コロナ禍の最中でありましたから感染予防にもとても苦心しました。その後、今ではおかげさまで、主人も私も回復し、体力を取り戻し、とくに主人は会長職をこなせるほど元気に過ごせるようになりました。しかし、それは社員をはじめ会社を支えていただいた方々のおかげで、感謝の気持ちしかありません。

　──そうした経験もあっての「健康」事業なのですね。

　安河内　たとえば、当社では「樹木のミスト」をオフィスで使っていますが、そのおかげでしょうか、これまで社員誰1人としてコロナに感染しておりません（笑）。

　この3年の間に健康に関するさまざまな気づきや経験をし、何か新しいチャレンジをするように世の中から求められているような気持ちになりました。たとえば、私にはレストランを経営していた経験があることから、今後は栄養士とコラボレーションをした食事を提供する事業や、データに基づいた安心安全な水の提供などといった取り組みも考えています。

　塗装を中心とする既存事業も大切にしながら、今後はお客さまの暮らしに近い事業にも乗り出していくことで、お客さまに喜んでいただけるようなサービスを提供していきたいと、そんな展望をもっています。

【田中　直輝】

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：安河内　ちはる
本　社：福岡県宗像市田熊4-1-14KYビル201
志免営業所：福岡県糟屋郡志免町別府北1-5-13
設　立：1989年3月
資本金：3,000万円
ＴＥＬ：0940-62-5960（本社）
　　　　092-624-9678（志免営業所）
ＵＲＬ：https://fukken-shouji.jp