デザイン&マネジメントで差別化を図る 唯一無二の建築設計事務所|志賀設計
(株)志賀設計
ニッチな領域を深耕
福岡市地下鉄七隈線・別府駅からほど近い穏やかな住宅街──福岡市城南区鳥飼に本社を構える名門設計事務所・(株)志賀設計。1953年10月の設立以来、高品質の建築デザインを提供し続けてきた同社では、「ココロを、カタチに。」をコンセプトに、顧客の笑顔や素敵な街並み、そして楽しい仕事の追求を続けている。
デザインと建築の専門家集団である同社では現在、建築設計・監理を主軸に、建築事業企画、建築リノベーション、コンストラクション・マネジメント(CM)、建物診断・耐震診断、省エネ建築物の普及に取り組むZEBプランナーといった事業に取り組んでいる。とくに「デザイン&マネジメント」という独自の技術を駆使しながら、建築に求められる「機能性」「強度」「審美性」「価格」の4要素を総合的かつ迅速に統合する設計を提供。業務実績は多岐にわたり、医療施設(病院、クリニック)や福祉施設(特別養護老人ホーム、デイケア施設)、教育施設(学校、保育園、大学)、食品工場、オフィス、商業施設、マンション、公共施設(市営住宅、公民館、消防署)、倉庫、音楽演劇ホール、住宅、店舗、インテリアデザインなど、幅広い分野の建築を手がけている。なかでも同社が得意とするのは、医療施設と食品工場だ。
「競争の多いところに入っていくと、他設計会社との値引き合戦に巻き込まれて、利益を残すことが困難です。そのため当社では、ライバルが少ない領域、いわばブルーオーシャンで勝負する戦略をとっています」──と、同社代表取締役社長・八島英孝氏は話す。
たとえば病院施設は、通常の建築物と比べて、構造や動線、感染対策など求められる仕様や水準が高く、さらには医者ごとに使い方の好みも異なる。食品工場の場合はさらに特殊で、構造や動線はもちろんのこと、衛生管理やアレルゲン対策など、従来の設計業務の慣行にとらわれない細やかな気配りや発想が求められる。こうした領域は知識と経験の蓄積がものを言い、誰にでもできる仕事ではない。そうしたニッチな領域の深耕にこそ、自社の勝ち筋を見出している。
地場におけるCM先駆者
地場の設計会社としてはいち早く、自社の業務領域にCMを取り入れたのも同社の大きな特徴の1つだ。
CMとは、発注者の立場に立ったコンストラクション・マネジャー(CMr)が、プロジェクトの目標や要求の達成を目指してプロジェクトを主体的に進めていく建築生産方式のことである。旧来、設計は設計事務所、工事施工はゼネコンがそれぞれの守備範囲をマネジメントしてきたが、発注者の立場からプロジェクトを一貫してCMrがマネジメントすることにより、透明性や説明責任の確保、利益相反の排除、発注者へのより良い価値提供が可能となる。国土交通省でも2002年2月に「CM方式活用ガイドライン」を策定し、CM方式の効果的かつ適正な活用を促すなど、日本における建設生産・管理システムの1つとしての定着を推進している。
八島氏は、そのCMの有用性および可能性に早くから着目。自ら東京でCMを学び、自社の事業領域に取り入れることで、他社との差別化を図ってきた。これも同社における、ニッチな領域を深耕するという事業戦略の1つといえるだろう。その八島氏は、CMの確立・普及を目的として設立された(一社)日本コンストラクション・マネジメント協会の九州支部長を16年から5期・10年にわたって務めている。まさに九州・福岡におけるCMの先駆者であり、第一人者といえよう。建築設計とも親和性の高いCMという新たな事業領域をいち早く切り拓き、他社との差別化を図ってきたことも、設計事務所としての同社の存在感を押し上げている要因の1つだ。
業界に貢献で2度の叙勲
現在、地場の設計業界を取り巻く環境は、激変の最中にある。八島氏によれば、たとえば福岡都心部の大型プロジェクトなどでは中央大手の設計事務所が担うようになり、地場の設計事務所にとっては「設計がまちをつくっていく」というかつてのポジションが、遠のきつつあるという。契約形態に関しても、デザインビルドやCM、ECI(早期施工者参画型)など多様化し、設計の「入り方」が複雑になった。地場団体が連携して普及を進める「BIM」に関しても、意匠の部分は若い世代を中心に浸透したものの、構造・設備との一体化はなかなか進まず停滞しているという現状もある。
そうしたなか、建築設計業界においては生成AIの普及・台頭も大きな変化だ。建物全体の設計イメージまで一瞬で出力する生成AIは、小規模な建築設計事務所にとっては、ともすれば脅威にも映る。だが、八島氏は「たしかに、マンションの3LDKプランのような定型のものであれば、生成AIが一瞬で作成してしまいます」と認めつつも、「重要なのは、あくまでも入力する人間です。入力する側が、設計する際の条件や留意しなければならない点をきちんと把握できているかどうかで、結果は大きく違ってきます。AIは生身の人間の建築士を代替する存在ではなく、あくまでも能力を拡張するツールに過ぎません」と冷静に見つめている。
その八島氏は、自社の経営だけにとどまらず、地場業界全体の発展にも力を注いできた。先に述べた日本コンストラクション・マネジメント協会の九州支部長のほかにも、(一社)福岡県建築士事務所協会の会長を08年から3期6年務め、さらには全国組織である(一社)日本建築事務所協会連合会の副会長も3期6年務めてきた。その功績は高く評価されており、18年には黄綬褒章を受章。そして26年には旭日双光章を受章し、天皇陛下からの2度にわたる叙勲の栄誉を賜った。この2度の叙勲は、八島氏が福岡の建築設計業界に貢献し続けてきた軌跡にほかならない。
「頭さえしっかりしていれば、設計に年齢は関係ありません。福岡ではまだしばらくは建設投資が続き、街中に新たな建築物が次々と生まれていくでしょう。当社も微力ながら地場の建築設計事務所として、これからも建築設計を通じて福岡の発展に寄与していきたいと思います」(八島氏)。
【坂田憲治】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:八島英孝
所在地:福岡市城南区鳥飼5-20-11
設 立:1953年10月
資本金:1,000万円
URL:https://shiga-ae.com/

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