2024年04月27日( 土 )

3代目社長が苦戦する印刷業界に挑む~巧文社印刷(前)

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 創業から64年の老舗である福岡の地場印刷会社、巧文社印刷(株)。代表取締役の藤島修平社長は37歳。昨年1月に3代目社長に就任したばかりだ。低迷が叫ばれて久しい印刷業界のなかで、古くからの顧客たちを大切にしつつ、生き残りをかけた戦略構築を図る。

博多区の老舗印刷会社

巧文社印刷(株) 藤島 修平 社長

 同社は1953年、藤島社長の祖父が務めていた印刷会社から独立起業したことに始まる。藤島社長の父で、現会長の藤島靖氏が会社を引き継いだ。家業を継ぐ決意をしたのは、高校生の時。大学も将来を見据えて九州産業大学(福岡市東区)の芸術学部写真学科印刷コースを選考。2年ほど福岡でサラリーマンとして社会人経験を積んだのち、父から「そろそろ会社を継ぐ準備をしてほしい」との言葉を受けて、印刷業界への修行に出た。1年間岐阜の印刷機械メーカー、その後大阪で書体メーカーを経て、東京の印刷会社に入社。ここで3年間営業や一通りの業務を覚えて専門知識を得て、巧文社印刷に入社した。

 同社が主に取り扱うのは、名刺や伝票類、封筒、郵便伝票といった事務系の印刷物。チラシやポスターといった商業印刷物も引き受けるが、事務系印刷物の割合が5割以上を占めるという。

社長交代してからの取り組み

 社長就任から1年半、少しずつだが社内の改革を試みている。誕生日休暇制度の導入や年間の休暇スケジュールを社員全員で話し合って決めるなど、社員が少しでも働き易い環境の創出も始めた。「休暇スケジュール決定で意外に感じたことは、大型連休の取得よりも土日休暇が増えたほうが嬉しいという声の多さでした。社員の考えが聞け、我々(経営陣)の思いと違いがあることが分かったことも、大きな収穫でした」と藤島社長は振り返る。

 半年に1回のペースで、社員との面談も決行。1人1人とじっくり向き合うことで、通常の業務内だけでは聞こえてこなかった意見や要望を聞くことができるようになった。1つ1つの小さな意見を集め、できることから改善を図っているとのことだった。

 なぜこれらの取組みに着手したのか。藤島社長に尋ねると、社長が所属する(一社)福岡県中小企業家同友会からヒントを得たのだという。「同友会には、多くの経営者、経営後継人などが集まり、経営に関する勉強会を開いています。非常に参考になる意見も多く、刺激を受けます。面談制度についても、先輩経営者から『社員と面談することは、さまざまな面で実を結ぶ』とのアドバイスを受けたからです」と藤島社長は話す。

(つづく)
【中尾 眞幸】

<COMPANY INFORMATION>
巧文社印刷(株)
代 表:藤島 修平
所在地:福岡県福岡市博多区古門戸町9-16
設 立:1953年
資本金:1,000万円

 

(後)

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